研究課題/領域番号 |
23K03929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
鈴木 匠 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70756238)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 超伝導 / 希土類系高温超伝導体 / 臨界電流密度 / ひずみ / 双晶 / 希土類系高温超伝導線材 / 人工ピン |
研究開始時の研究の概要 |
希土類系高温超伝導線材(REBCO線材)は電動化航空機などへの応用が期待されている。しかし、実用化のためには電気抵抗0で流すことができる最大の電流値(臨界電流密度)の向上が必要となる。高特性化のために欠陥の制御が重要となる。これまで自然欠陥(特に双晶)を制御するということは行われていない。本研究では、双晶を制御することによりREBCO線材の更なる高特性化と双晶が特性に与える影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、超伝導体の応用において特に重要となる臨界電流密度について希土類系高温超伝導体(REBa2Cu3Oy:REBCO)に必ず存在する双晶という欠陥による影響という観点から向上させる手法を確立することを目的とした。 2023年度はトリフルオロ酢酸塩を用いた有機金属成膜(TFA-MOD)法で作製したREBCO線材に対して、ひずみを印可しながら熱処理することにより、双晶を制御する条件の検討を行った。印可するひずみ量や熱処理する温度によって臨界電流密度特性や超伝導転移温度がどの程度変化するかが分かった。これらの結果は双晶による超伝導特性への影響を明らかにするための基礎データとなり、今後、詳細に臨界電流密度の温度、ひずみ、磁場、磁場印可角度依存性を測定する予定である。また、ひずみによる超伝導特性の変化も存在するため、双晶を制御していない状態でのひずみによる影響についての検討を行った。超伝導線材にダメージが出ない0%から0.5%の範囲でのひずみ依存性を明らかにし、ひずみにより磁場中の臨界電流密度特性が向上することが分かった。また、これまであまりデータが得られていない、ひずみ下における磁場印可角度依存性を詳細に測定することに成功し、この臨界電流密度の向上にも双晶や粒界が影響していることが分かってきた。臨界電流密度の磁場印可角度依存性は実用のコイル応用では様々な方向に磁場が印可されるため非常に重要なデータとなる。 これらの結果は査読付き学術論文へ投稿準備中で、来年度の国際学会、国内学会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績概要に記したように、REBCO線材に対して、ひずみを印可しながら熱処理することにより、双晶を制御する条件の検討や双晶を制御していない状態でのひずみによる影響についての検討を行った。本年度に計画していた実施項目についておおむね完了させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は今年度に引き続き、双晶を制御したREBCO線材に対して、詳細に臨界電流密度の温度、ひずみ、磁場、磁場印可角度依存性を測定する。双晶による各ドメインの割合とこれらの特性の変化を系統的に評価することにより双晶の影響を明らかとする。また、実用環境に合わせた最適なひずみ下での熱処理条件を 明らかにすることによりREBCO線材の更なる高特性化の条件について調査する。
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