研究課題/領域番号 |
23K03939
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
増澤 智昭 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (40570289)
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研究分担者 |
中野 貴之 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00435827)
山田 貴壽 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (30306500)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ダイヤモンド / 放射線センサ / 高感度化 / キャリア輸送特性 / 中性子イメージング / 中性子 / 放射線検出器 / 界面物性 / 薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
ポータブル中性子イメージングの実現に向けて、ダイヤモンドを材料とした半導体中性子検出器を開発する。従来の半導体中性子検出器では半導体バルク単結晶の物性がボトルネックとなっていたが、本研究では半導体薄膜積層構造を利用することで高感度化を実現する。これまでの研究で、ダイヤモンド薄膜を積層した中性子センサで従来センサの10倍以上の高感度化に成功しているが、高感度動作モデルを確立するために薄膜内の信号輸送の解明が課題であった。積層構造内での電荷生成・輸送機構解明による、中性子センサ高感度化モデルの確立と実証を3年間で実現する。
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研究実績の概要 |
ポータブル中性子イメージングの実現に向けて、高感度中性子センサのための要素技術を開発した。本研究独自のセンサ構造で、なぜ放射線を高感度に検出できるのか、動作モデル確立のために薄膜内の信号輸送の解明が課題であった。 今年度は、センサ内でのキャリア輸送特性を詳しく調べるため、アルファ粒子を入力とした放射線信号検出特性評価を行った。中性子やガンマ線を使う場合と比べ、積層構造の有感層付近に集中してキャリア輸送特性を調べることができる独自の評価手法を開発した。 研究の結果、ホウ素添加層付近の電界集中および光導電性ゲインによって従来構造よりも感度が向上することが示唆され、目的であったキャリア輸送特性を明らかにした。 ダイヤモンド積層構造のバンド構造同定については、光電子分光法によるダイヤモンドのバンド構造評価環境を整え、高感度動作モデル解明の手がかりを得た。総じて当初計画通りに進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、ダイヤモンド放射線検出器の(1)キャリア輸送分析、(2)動作モデル確立、(3)積層構造最適化、の3課題で構成される。 研究着手時の計画として、初年度は(1)キャリア輸送分析のため放射線照射によるキャリア発生・輸送特性評価装置を新たに開発し、ダイヤモンド放射線検出器のキャリア輸送特性を調べる。2年目以降、(2)動作モデル確立のための、ダイヤモンド薄膜積層構造のバンド構造同定と (3)積層構造最適化のためのダイヤモンド薄膜合成、表面処理及び電極形成プロセス最適化を実施することとしていた。 初年度の目標であったダイヤモンド放射線検出機のキャリア輸送分析について、アルファ粒子を入力とすることで薄膜積層構造のキャリア輸送特性を精査できる本研究独自の評価技術を新たに開発した。この評価技術を用いて積層構造ダイヤモンド放射線センサのコンバータ層付近でのキャリア輸送特性を評価し、積層構造の界面付近の電界集中と、光導電性ゲインの効果によって、高感度な放射線検出が可能となることが示唆された。(2)ダイヤモンド積層構造のバンド構造同定については、バンド構造同定の準備として光電子分光法によるダイヤモンドのバンド構造評価の準備を整えた。総じて当初計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ポータブル中性子イメージングを実現するため、ダイヤモンド放射線センサの動作原モデル解明とセンサ構造の最適化が必要である。本年度の研究によりダイヤモンドのキャリア輸送特性評価が可能となり、動作モデル解明の有用な手がかりを得た。次年度は、ダイヤモンドのバンド構造同定により動作モデルを解明し、放射線検出の高感度に必要な条件を明らかにするとともに、センサ構造や信号処理の最適化により中性子イメージングのための検出技術高度化を実現する。 また、最適化されたセンサ構造を用いて、構造物非破壊検査や土壌検査など中性子イメージングの実証研究を目指して先取りの研究に着手する。
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