研究課題/領域番号 |
23K03948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
室谷 英彰 徳山工業高等専門学校, 情報電子工学科, 教授 (20612906)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | AlGaN / 励起子 / 深紫外 / 励起子多体効果 / 窒化物半導体 / 発光デバイス / 光学利得 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体中の電子と正孔は、クーロン相互作用によって互に束縛された励起子状態を形成する。さらに、高密度で励起子が生成された場合、励起子間の相互作用によって励起子分子の形成や励起子間の非弾性散乱などの励起子多体効果が発現する。励起子多体効果は高い光学遷移確率を有し、光学利得の生成も期待できるため、半導体発光デバイスの動作原理として応用することができれば、デバイスの効率と安定性を向上させることができる。本研究では、レーザー分光を中心とした実験的手法によって励起子多体効果に関する発光特性を解明し、励起子多体効果に基づく発光過程を動作原理とした発光デバイスの実現に向けたデバイス構造の設計指針を明示する。
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研究実績の概要 |
本研究では、電子と正孔がクーロン相互作用によって互いに束縛された状態である励起子の光学遷移過程と励起子間の相互作用に基づく励起子多体効果によって発現する光機能性に注目し、窒化物半導体において励起子多体効果に基づいた発光過程を動作原理とした発光デバイスの実現に向けたデバイス構造の設計指針を示すことを目的として研究を進めている。現在までに得られた研究実績は以下の通りである。 280 nm帯で発光するAlGaN系量子井戸構造において、光励起による誘導放出を観測し、誘導放出特性の励起波長依存性を評価した。その結果、誘導放出光の励起スペクトルに励起子共鳴によるピークが観測され、誘導放出機構に励起子が関与している証拠を得ることができた。また、同様の試料において、室温で光励起によるレーザー発振を観測することができた。この結果は励起子が関与した誘導放出機構による光励起室温レーザー発振が実現できたこと示している。 220-260 nm帯で発光するAlGaN系量子井戸構造において、活性層選択励起下において内部量子効率の温度依存性を評価し、励起子の発光・非発光過程に基づく速度方程式モデルで解析した。その結果、220 nm帯で発光する試料においては非発光再結合過程がより低い温度で活性化することが示された。 以上のことから、励起子効果および励起子多体効果を利用した発光デバイスの実現の可能性を示すことができ、発光デバイスの性能を低下させる要因が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AlGaN系量子井戸構造において、誘導放出特性の励起波長依存性を評価した結果、誘導放出機構に励起子が関与していることの証拠を得ることができた。励起子が関与した誘導放出機構の有力な候補は励起子多体効果であるが、現状では励起子多体効果が誘導放出機構に関与している直接的な証拠は得られていないため、計画よりもやや遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、励起子が関与した誘導放出機構が励起子多体効果に基づくものであるか否かを明らかにするとともに、その発現条件の解明を行い、励起子多体効果を応用した発光デバイスの設計指針の確立を目指す。
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