研究課題/領域番号 |
23K03955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
武田 正典 静岡大学, 工学部, 准教授 (80470061)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 超伝導 / パラメトリック増幅 / カイネティックインダクタンス / 高温超伝導体 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導伝送線路のカイネティックインダクタンス非線形性を利用する進行波型超伝導パラメトリック増幅器はマイクロ波帯で極低雑音,高利得,広帯域,極低消費電力で動作可能であり,そのような理想的な増幅器性能を有するマイクロ波増幅器は電波天文観測や量子情報計測の分野で注目されている.本研究では,高温超伝導体を用いた超伝導パラメトリック増幅器を提案し,従来よりも大幅に動作温度を向上させることを目標とする.
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研究実績の概要 |
本研究は,超伝導伝送線路のカイネティックインダクタンス非線形性を利用する進行波型超伝導パラメトリック増幅器(KITWPA)に関するものである.特に,高温超伝導YBCO薄膜を用いることにより,KITWPAの高温動作を目指すものである.令和5年度は,高温動作に向け,超伝導伝送線路に伝送損失がある場合の利得について検討した. 温度が高くなるほど超伝導薄膜の高周波表面抵抗は増大し,超伝導伝送線路の伝送損失は無視できなくなる.本研究では,超伝導薄膜の表面抵抗をモード結合方程式に含め,KITWPAの利得解析を行った.通常,動作温度が低く超伝導薄膜の表面抵抗が小さい場合,線路長を長くするほど利得は増大し,ある長さで利得の飽和が生じる.一方,動作温度が高くなると,ある長さまでは線路長を長くすることにより利得は増大するが,その後,利得よりも伝送損失が支配的になり,利得が低下することを示した.動作温度が高くなるにつれ,線路長を長くすることで利得の増大は見込めないが,ポンプパワーを増大することにより低温動作時と同等な利得が得られることを示した.しかしながら,ポンプパワーを大きくすると利得飽和が起こる入力信号パワーが小さくなることも示した. また,YBCO薄膜のパターニングテストなどを行い,YBCO薄膜の転移温度,抵抗率及び臨界電流密度の測定を行った. 今後,上記解析の結果に基づき,YBCO薄膜を用いてKITWPAを設計・試作を行い,利得や雑音などの増幅器特性の評価を行っていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,増幅器設計に必要なYBCO薄膜のカイネティックインダクタンス及び電流印加時のカイネティックインダクタンス非線形性に関する測定を計画していた.しかし,その測定に必要なベクトルネットワークアナライザが故障してしまい,修理に時間を要したことから計画通りに進めなかった.この測定は令和6年度に実施する予定である.一方,令和6年度に予定していた増幅器の利得解析を令和5年度に実施した.以上の理由から,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方策として,YBCO薄膜を用いて進行波型超伝導パラメトリック増幅器を設計,作製し,マイクロ波帯で利得や雑音など増幅器性能を測定する.また,そのための実験系などを整備していく.
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