研究課題/領域番号 |
23K03959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
土谷 亮 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (20432411)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マイクロ流路デバイス / 接触角推定 / 概念実証 / 接触角センサ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,微小な液体を操作するマイクロ流路デバイス,その中でも電極によって液滴を操作するデジタルマイクロ流路デバイスに搭載可能な接触角センサを開発する.マイクロ流路デバイスは電界によって液滴の接触角を変化させることで液滴を移動させる.しかし,液滴の接触角を観測可能なセンサは実現されていない.本研究では平面電極の静電容量から接触角を測定するセンサを提案し,マイクロ流路デバイスの高機能化に寄与する.計算機シミュレーション,プリント基板による実証を用いつつ,最終的には集積回路上に接触角センサを実現することを目指す.
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研究実績の概要 |
令和5年度の目標は,概念実証および電極形状検討である.本研究で提案するセンサーデバイスは小型かつ平面形状という制約があり,静電容量から液滴の形状と推定するという他に例のないデバイスであるため,まずは提案方式が実際に液滴形状を推定できることを示す必要がある.実際に EWOD-DMF (ElectroWetting-On-Dielectric Digital-MicroFluidic) 型のマイクロ流路デバイスに搭載するセンサーデバイスは 1 mm以下のサイズを想定しているが,まずは数 cmにスケールを大きくしたモデルで実証実験を行なった.これにより,3Dプリンタで製造した容器で液体形状を自由に変えることができ,広い範囲の接触角に対して実験が可能となる.事前検討で提案した電極形状によって液体の接触角を推定可能であることが示され,研究を次の段階に進められることが確認された.一方で,電磁界解析と比較して推定誤差が大きい場合があり,電極形状や電極を保護する絶縁膜の厚さなどにさらなる検討が必要であることが示された.本成果については,「第40回センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムにおいて発表を行なった.この結果を受け,主に電磁界解析を用いて電極形状の最適化についての検討を行ない,誤差要因の絞り込みを行なった.要因の一つとして,液滴と電極の位置関係によって推定誤差が増大することが確認され,誤差を抑制する電極形状について検討を行なった.本検討結果については電子情報通信学会 集積回路研究会 学生・若手研究会にて発表を行なった.ただし,現在のところ誤差の抑制効果は限定的であり,さらなる検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,令和5年度の目標は(1) 概念実証 (令和5年度) (2) 電極形状の検討 (令和5年度~令和6年度) の2点である.(1) については,試作したプリント基板および3Dプリンタにより製造した容器により,60度~120度の接触角について提案手法で接触角の推定が可能であることが確認された.(2) については,概念実証の検討および実測の結果を受けて,電磁界解析を用いて電極形状の検討を行なった.液滴と電極の位置関係によって推定誤差が大きくなることが確認されており,その誤差を抑制する電極形状について検討を行なっている.目標(1) については完了,目標(2) についても検討が進んでおり,研究は計画通りに進行していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進行しており,研究計画通りに推進する.令和6年度の目標は (1) 電極形状の検討 (令和5年度から継続),(2) センサーチップの実現 (令和6年度~令和7年度) の2点である.(1) については令和5年度からの継続課題であり,電磁界解析を用いて検討を進めている.(2) については現在の概念実証モデルが数 cm のサイズであるのに対し,数十~数百 μm とサイズが小さくなるが,電磁界解析による設計に着手しており,令和5年度の成果を基に実際に EWOD-DMF に搭載可能なサイズで提案センサーデバイスが実現可能であることを実証する.
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