研究課題/領域番号 |
23K03960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (50525384)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | テラヘルツ / サブハーモニック検出器 / アレイ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、セキュリティ検査や製品検査への適用が検討されている「テラヘルツ(THz)波イメージング技術」の確立に向け、検出器の基本技術開発に挑戦するものである。そのために、リアルタイムでの撮像に不可欠な検出器の2次元アレイ化と、撮像の感度向上に効果的なヘテロダイン検波を同時に実現できる、小型・軽量で低コスト化も可能な基本構成要素として、新たに提案した「両面入射型THz波サブハーモニック検出器」を開発する。
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研究実績の概要 |
基本となる検出器については、アンテナを含めた素子構成について電磁界解析を用いた設計を行うことで、両面入射に対応した素子構造を決定した。特に、入射信号の波長が表面側と基板側とで基板の屈折率分だけ異なることを考慮して構成を最適化した。検出器にはFMBDを用い、SHMに適したアンチパラレルダイオード対型の構成を採用した。パラメーターの異なる素子を準備することで、プロセス要因や解析と実験との解離に備える設計とした。これらの結果に基づき、SiC基板上にInP系エピ層だけを室温で転写したウェハを用い、素子作製プロセスを実行することで、SiC基板上に形成された平面アンテナ集積型の検出器を作製した。SiC基板の厚さは、基板内での信号共振を抑制するため、32ミクロンまで薄層化した。これは、InP基板を用いた場合では実現不可能な薄さであり、本研究でSiCプラットフォームを用いたことの重要な効果である。そして、素子のDC特性を評価した結果、良好なI-V特性が得られていることを確認した。作製した各素子は、ダイシングによりチップに分離することで、モジュール実装を行うために必要な素子を用意した。また、ここで作製した素子を実装するための筐体についても、両面入射に対応すると共に検波効率を向上させるための構成を検討し、電磁界解析を用いた設計を行うことで構成を決定し、部材作製に反映させた。さらに、平面型BPFについても、金属メッシュ型の構成を採用し、300GHz帯での透過特性を評価した結果、本研究で必要とする周波数特性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
素子設計、作製プロセス、及び筐体設計をほぼ計画通りに進めた結果、アンチパラレルダイオード対と平面アンテナを集積した素子、及び実装筐体の作製を完了した。また、平面型BPFの評価も行い、所望の特性が得られることを確認した。以上の結果は、全体として当初計画に従って進捗しており、全体としておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の目標実現に向け、試作した素子の実装及び特性評価を進めることで、素子特性のさらなる改良に向けた指針の抽出を行う。また、InPベースの素子との特性比較も実施することで、改良指針の明確化を行う。さらに、特性評価により実装構成の改良に向けた知見の抽出も行い、改良構成の設計に反映させる。アレイ化やイメージングの実現に向けた事前検討も開始する。
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