研究課題/領域番号 |
23K03962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
柴山 純 法政大学, 理工学部, 教授 (40318605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | FDTD法 / 数値分散解析 / 周波数分散性媒質 / 反復計算 / 光導波路デバイス / テラヘルツ波デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
FDTD法はコンピュータを用いた電磁波問題の数値計算で最も広く利用されている技法の一つである.本研究では,クランク・ニコルソン(CN)法に基づく負荷の大きな陰的な計算を,容易に扱える陽的な繰り返し計算に置き換えた新しいFDTD法を開発する.計算精度を維持しつつ計算効率を劇的に向上させる,反復CN(ICN)法に基づく陽的なFDTD法を提案するのが本研究の目的である.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,Crank-Nicolson(CN)法の陰的な計算を,陽的な繰り返し計算に置き換えることで,計算精度を維持しつつ計算効率を劇的に向上させる,反復CN(ICN)法に基づく新しい陽的なFDTD法を開発することである. まず,計算精度を端的に評価するため,1次元問題の数値分散解析を行った.本研究のICN-FDTD法では,未知項から既知項の計算過程で,空間に3階の高次微分が含まれている.従来の陽的FDTD法では2階微分までであり,ICN-FDTD法では空間に対する計算精度が高いと予測できる.しかし,解析の結果,ICN-FDTD法は従来の陽的FDTD法に比べて,僅かな位相誤差を持ち,加えてほとんど無視できる程度の界の散逸性を持つことが分かった.これらは実際のデバイス解析にはほとんど影響ない数値分散特性であった.この数値分散解析の結果は,電子情報通信学会の英文レターとして採録が決まった. 加えて,従来の陰的なCN-FDTD法に対するICN-FDTD法の計算の高速性を調査した.CN-FDTD法の連立方程式の解法にマルチフロンタル法を利用した.結果として,ここで開発したICN-FDTD法の計算時間は,CFLN=1,10に選んだCN-FDTD法に対して,1.7%,16%となり,計算時間の短縮に寄与できることを示した. さらに,周波数分散性媒質の解析ができるように,ICN-FDTD法を周波数依存型に拡張した.分散性媒質の組み入れは,申請者の研究室で実績のある,台形則に基づく帰納的畳み込み法を導入した。プラズモニックグレーティングを解析し,従来の陽的FDTD法と等価な計算結果が得られた. 以上の計算は,本補助により導入したワークステーションを早急に立ち上げ行われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の当初の実施予定は,1)ICN-FDTD法の数値分散解析を実施する,2)従来の陰的CN-FDTD法とICN-FDTD法の計算効率を比較する,3)周波数分散性媒質解析のための周波数依存型にICN-FDTD法を拡張する,4)ワークステーションを購入し,早急に立ち上げて計算を実施する,の4点であった. 1)については,1次元の数値分散解析を行い,結果は電子情報通信学会の英文レターとして公表した.2)については,従来の陰的CN-FDTD法を実装し,ICN-FDTD法と計算時間を比較した.結果は,電子情報通信学会総合大会で発表した.3)については,ICN-FDTD法を台形則に基づく帰納的畳み込法を用いて,周波数依存型に拡張した.結果はIETのElectronics Lettersに掲載された.4)については,ワークステーションを購入し,早急に立ち上げた. 以上のように,当初の実施予定の通り,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
1) ICN-FDTD法を3次元問題に拡張する.その際,周波数分散性媒質への応用も同時に進める.2) 従来のCN-FDTD法の3次元問題への実装を行う.解くべきはバンド幅の広い行列となり,直接法では計算が困難と予想される.種々の反復法を用いて,どの技法が効率よく計算できるか検証する.3) 当研究室で実績のある3次元デバイスの解析を行う.光波帯でのプラズモニックデバイスに関しては金属-誘電体-金属を用いた導波路デバイスを取り上げる.4) CN-FDTD法の従来手法に対する優位性を議論する.従来手法で計算が不安定になる問題を取り上げ,CN-FDTD法が安定に計算できるかどうか調査する.5) 成果発表のため外国旅費を計上している.大学院生とともに,Numerical Simulation of Optoelectronic Devices (NUSOD),PhotonIcs & Electromagnetics Research Symposium (PIERS)などでの成果発表を予定している.論文執筆も行い,広く成果を公表する.
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