研究課題/領域番号 |
23K03963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
陳 春平 神奈川大学, 工学部, 准教授 (20440266)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 6G無線通信 / ミリ波デバイス / 金属PhCデバイス / マルチバンドデバイス / 超広帯域バンドパスフィルタ / 合成理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は超高速,超低遅延,超多数接続,超低消費電力且つ超低コストの特徴を持つ第6世代移動通信(6G)システムに必要不可欠な超広帯域電磁回路およびテラヘルツ波帯の超小型機能デバイスの迅速開発を目指し,理論と実際の両面から研究を行う.超広帯域回路の系統的な設計理論を構築し,さらに,従来光領域で用いられるフォトニック結晶をテラヘルツ波帯に適用することにより,新たしいテラヘルツ波機能デバイスを開発する.
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研究実績の概要 |
第6世代無線通信方式(6G)は、近未来の「サイバネティック・アバター(Society 5.0)社会」の実現を支えるための最も重要な技術課題と位置付けられている.この取り組みには、人工知能(AI)技術や量子技術などとの統合も含まれている.現在、世界中の多くの国が6Gの研究開発に取り組んでいる中、日本国内では、産業界、学術界、政府が連携し、通信技術やエレクトロニクス、情報技術などの分野で6Gの実現に向けて、関連する新技術の開発を積極的に行っている.一方、6Gは5Gと比べ、10倍の100Gbpsの超高通信速度、10倍以上の同時接続端末数、1/10となる0.1ms以下の超低いネットワーク遅延、加えて1/100以下の超低消費電力を実現する必要がある。このような厳しい要件を満たすために、複数の広周波数帯域の同時利用及び100GHz以上の未踏の短ミリ波帯・テラヘルツ波の利用が必要不可欠である.本研究では6G無線システムに不可欠な受動電磁回路の開発を目指し、具体的には、二つ以上パスバンドを有するマルチバンド広帯域フィルタ及び短ミリ波・テラヘルツ波帯の超小型機能デバイスを開発する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つの通過帯域を有するデュアルバンド超広帯域フィルタの合成理論の構築に関して、超広帯域バンドパスフィルタとバンドストップフィルタとの組み合わせにより、新しいフィルタ構造と合成理論を提案した.デュアルバンド超広帯域フィルタの構造、それに対応する伝送線路理論に基づいた等価回路、フィルタの理論特性関数、およびフィルタの各部分のパラメータ(インピーダンス)を設計するための理論合成式を導出した.さらに、日本のUWB規格を満たす2つの広い通過帯域(3.4 - 4.8GHzおよび7.25 - 10.25GHz)を持つデュアルバンド超広帯域フィルタを提案した合成理論により設計し、マイクロストリップ線路を用いてフィルタを実際に作製し、周波数特性を測定した.実験結果は理論結果とよく一致していることにより、提案した新しいフィルタの構造および設計理論の有効性が確かめられた. 短ミリ波・テラヘルツ波帯の超小型機能デバイスの開発に関して、準ミリ波帯域でフォトニック結晶点欠陥共振器を用いたバンドパスフィルタを設計し、試作してみた.実験結果は理論結果と大きな乖離が見られたが、数値計算により、その乖離が生じた原因を検討し、明らかにした.今後、その乖離を生じた原因を考慮した設計法を用いて、準ミリ波帯域での機能デバイスを設計する予定である. 研究成果の一部を論文に纏め、2023 IEEE MTT-S International Wireless Symposium (IWS2023)、2023 IEEE 11th Asia-Pacific Conference on Antennas and Propagation (APCAP2023)、アジアパシフィコマイクロ波国際会議(APMC2023)などの国際会議を通して公開している.
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今後の研究の推進方策 |
6G無線通信システムに必要不可欠な超低群遅延デュアル/トリプル/マルチバンド超広帯域フィルタの理論設計について、前年度の研究内容を引き継ぎ、以下の3つの研究課題に重点を置き、3つのパスバンドを有するトリプ超広帯域パスバンドフィルタの新しい合成理論を構築する.1) フィルタ構造の提案と等価回路の導出、2) 提案したフィルタ構造に対応するフィルタの理論フィルタリング関数の導出、3) フィルタを設計するための理論設計式の導出. 短ミリ波・テラヘルツ波帯の超小型機能デバイスの開発に関して、前年度の研究成果に基づき、試作した回路の実験結果と理論結果との誤差原因を考慮し、新しい平面フォトニック結晶構造を用いた準ミリ波帯バンドパスフィルタ回路を設計し直し、実験により確認する.もし、再び大きな乖離が見られた場合は、誤差の原因を再検討し、回路を再設計する.新しく提案した構造が確認できた場合は、この構造の分波器、方向性結合器、スイッチなどの機能デバイスへの適用を検討する.具体的には、各機能デバイス回路を実現するための回路構造を選定し、その構造に対応した等価回路,デバイスの理論特性関数、構造パラメータと理論周波数特性の関係式の3つの内容から,検討を行い,特に、汎用性のある一般設計理論を開発し,設計用プログラムを作成する予定である. また、一部の研究成果を電子情報通信学会研究会、総合大会、ソサイエティ大会などの国内会議、およびアジアパシフィコマイクロ波国際会議(APMC2023)などの国際会議を通して公開する予定である.
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