研究課題/領域番号 |
23K03965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
研究開始時の研究の概要 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構において国産中空ファイバを用いた赤外レーザ内視鏡治療の事業が行われ、更なる展開が期待されている。 本研究では、内視鏡の可動範囲、半径15 mmの曲げ、曲げ角270°に適応でき、疲労限界内では決して破壊しない赤外光伝送路として、「無毒」、「耐腐食性」、「生体適合性」、「再利用可能」、「可動性」の特長を有する、内径700 μmの超弾性・記憶ニッケルチタン合金チューブを母材とする中空ファイバの開発を図る。伝送するレーザ光は、低出力でも優れた切開能力を有するEr:YAGレーザ光、止血能力のあるCO2レーザ光、ならびに照射治療部を視認するための可視ガイド光である。
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研究実績の概要 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)において国産技術に注目したテーマとして、国産中空ファイバを用いた赤外レーザ内視鏡治療の事業が行われ、更なる展開・高度化が期待されている。その中でのキーとなる技術は、体内に挿入しても決して破壊しない、安全・安心なレーザ伝送路の開発である。 本研究では、この要求に応えるために、内視鏡の可動範囲、半径15 mmの曲げ、曲げ角270°に適応でき、疲労限界内では決して破壊しない赤外光伝送路として、「無毒」、「耐腐食性」、「生体適合性」、「再利用可能」、「可動性」の特長を有する、内径700 μmの超弾性・記憶ニッケルチタン(Ni-Ti)合金チューブを母材とする中空ファイバを開発することを目的とする。伝送目的とするレーザ光は、低出力でも優れた切開能力を有するEr:YAGレーザ光、止血能力のあるCO2レーザ光、ならびに照射治療部を視認するための可視ガイド光である。 令和5年度は、内面平滑化膜内装銀中空Ni-Tiファイバの製作と評価を図った。銀鏡反応で銀膜を成膜し、内径700 μm銀中空Ni-Tiファイバの製作を行った。銀中空Ni-Tiファイバ(長さ30 cm)の波長損失特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)は、内面平滑化膜ありのとき、波長1 μmにおいて約2~4 dB、内面平滑化膜なしのとき、約5 dBとなり、内面平滑化膜による低損失化が図れた。長さ90 cm銀中空Ni-Tiファイバの波長損失特性は、内面平滑化膜の膜厚変動による損失が大きく、波長1 μmで約14 dBとなった。令和5年度の結果から、Ni-Tiチューブは、先端素子(長さ30~50 cm)として、内視鏡の先端可動部で用いるのが効果的であると評価した。 令和6年度は、赤外レーザ複合光伝送用高信頼性・再利用性・高機能中空Ni-Tiファイバの製作を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、Ni-Tiチューブの内面粗さを抑制するために、内面平滑化膜内装銀中空Ni-Tiファイバの製作と評価を行った。簡易な液相法を用いた内径700 μm銀中空Ni-Tiファイバへの内面平滑化用ポリマー膜の成膜技術の開発を図った。内面に平滑化ポリマー膜を形成した後、銀鏡反応で銀膜を成膜した。内径700μm、長さ30 cmの銀中空Ni-Tiファイバの波長損失特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)を測定した結果、波長1μmで約5 dBであった。内面平滑化膜内装銀中空Ni-Tiファイバの波長損失特性は、波長1 μmで約2~4 dBであった。内径700μm、90 cmの銀中空Ni-Tiファイバの製作を図り、製作した銀中空Ni-Tiファイバの波長損失特性を測定した結果、波長1 μmで約8 dBであった。内面平滑化膜内装銀中空Ni-Tiファイバの波長損失特性は、波長1 μmで約14 dBであった。内径700 μmNi-Ti中空ファイバは、先端素子として有効と分かった。令和6年度は、令和5年度の研究成果を基に長さ30~50 cmの赤外レーザ複合光伝送用高信頼性・再利用性・高機能中空Ni-Tiファイバの製作を図る。効率のよい切開が可能なEr:YAGレーザ光と止血効果を有するCO2レーザ光を同時伝送可能な高信頼性・再利用性・高機能中空Ni-Tiファイバの製作を図る。高反射用光学膜として環状オレフィンポリマー(COP)を用い、膜厚を数十nmオーダーで精密に制御し、有効な膜厚の成膜を図る。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、赤外レーザ複合光伝送用高信頼性・再利用性・高機能中空Ni-Tiファイバの製作を図り、効率のよい切開が可能なEr:YAGレーザ光と止血効果を有するCO2レーザ光を同時伝送可能な高信頼性・再利用性・高機能中空Ni-Tiファイバの製作を行う。高反射用光学膜として環状オレフィンポリマー(COP)を用い、膜厚を数十nmオーダーで精密に制御し、最適膜厚の成膜を行う。
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