研究課題/領域番号 |
23K03982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高 磊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (40650429)
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研究分担者 |
石澤 淳 日本大学, 生産工学部, 教授 (30393797)
北 智洋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40466537)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | スーパーコンティニュウム光発生 / シリコンフォトニクス / スロット導波路 / 分散制御デバイス / 非線形光学 / 薄膜転写プリント / 光周波数コム / 波長分散制御 |
研究開始時の研究の概要 |
長さや周波数,時間の計量および標準策定に貢献する光コム技術の普及をめざし,微小領域転写プリント法(μ-Transfer Printing:μ-TP)による材料接合および非線形光学効果を利用した超広帯域光コムの発生を目指す.Siは非常に大きな3次非線形応答を有する一方,高い材料屈折率や強い光閉じ込めによる急峻な分散応答の抑制が困難であった.本研究では,先駆的な光導波路加工と異種材料接合技術を融合することでSi-SiO2-Si積層によるハイブリッドスロット導波モードを形成し,ゼロ分散波長を既存の2点から4点に増やす.その結果,波長1~2 μm帯全域に広がる近/中赤外光コム発生を実現する.
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研究実績の概要 |
3次非線形光効果に基づくスーパーコンティニュウム光発生(SCG)は,広帯域かつコヒーレントな周波数コムを生成するために広く使われる.特に,近赤外~中赤外光波長帯の周波数コムは超高速分光,光コヒーレントトモグラフィー,光通信など多くの領域で適用されている.本研究提案の中核である水平スロット導波路は,SiO2層が上下のSi層に挟まれた構造であり,その高い非線形光学効果と波長分散制御性により,1オクターブ以上のSCG広帯域化を実現すべく研究開発を進めた. 初年度の研究実施項目は,デバイス構造設計を終えたのちにプロセス基盤技術を開発することである.通常のSi導波路では材料/構造の両分散ともに極めて急峻であるゆえ,チャネル導波路の場合では,わずか数100 nm程度の範囲に限り非線形現象が観測される.そこで,本Si-SiO2-Si積層によるハイブリッドスロット導波モードを誘起することで改善を試みた.チャネルモード(波長1.1~1.8 um)からハイブリッドスロット導波モード(波長1.8~2.5 um)への遷移過程を経て,両モード分散曲線の重畳により広帯域なフラット分散カーブが得られることが計算で判った. プロセス技術については,u-Transfer Printing(u-TP)法によりSi-SiO2-Si積層によるハイブリッドスロット導波路のプロセス開発に着手した.予め構造分散制御されたSiチャネル導波路に対して,熱酸化によりSiO2スロット層を形成した.続いて,Si薄膜(膜厚:約110 nm)をSi/SiO2導波路上へ転写した.途中で様々なトラブルが生じたが,創意工夫を取り入れることで当初の計画以上にデバイス作製通り進行し,ほぼ設計通りのデバイス構造が完成した.現在,光学評価を実施してる. 当初の計画通り,国内学会,および国際学会へ投稿して口頭発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度計画の主要課題である,デバイス構造の最適化設計,および加工プロセスの基盤技術開発は全て完遂した.更に,SCGに関する光学評価,および理論解析を進めており,暫定的に1オクターブ以上の広帯域スペクトル発生が観測されたことから,当初は2年目終了時点(2025.3)までの実施計画目標を1年近く短縮して達成できている.
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今後の研究の推進方策 |
次のステップとして,得られた1オクターブ以上のSCGスペクトルと非線形シュレディンガー方程式解析によるシミュレーション結果との比較を行う.また,光周波数コムとして利用するためには優れた位相コヒーレンスを全域に渡って示す必要があり,実験的なコヒーレンスを評価する予定である.更に,当初掲げた励起光エネルギーの削減や微小リング共振器を設計し,群速度分散をFSRから抽出することで理論/実験値比較も実施する.
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