研究課題/領域番号 |
23K03985
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保 善司 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (50324108)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シリフューム / ポゾラン反応 / マイクロフィラー効果 / 水分浸透 / コンクリート / 耐久性 / シリカフューム |
研究開始時の研究の概要 |
コンクリート中の水分浸透の研究において、W/Cにかかわらず、5-10%程度のシリカフューム混和によって水分浸透が劇的に抑制される効果を明らかにしてきた。この効果とコンクリート構造物の耐久性能との関係は明らかにされてない。その効果の寄与メカニズムを精緻に解明し、汎用で多く用いられる強度のコンクリート(W/C=55%程度)に適用できれば、将来の社会インフラに対する維持管理費用の飛躍的削減が期待できる。本研究では、シリカフューム混和による水分抑制効果と耐久性能との関係を解明し、一般的な強度のコンクリート(W/C=55%)に対しても、低コストに経年劣化を抑制できるコンクリートの開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
コンクリート構造物中への水分浸透は,劣化現象の多くにおいてその発生・進行を大きく左右する。コンクリートを緻密化する方法としては,W/Cを小さくする以外に,シリカフュームなどの鉱物混和材を添加する方法がある。これまでの実験からW/C=35%,40%,において混和した場合には、無混和に比べて大幅に水分浸透を抑制し、さらに、大きなW/C=555においても同様の効果を確認してきた。今年度は、W/C=60%の水セメント比を対象とし,シリカフューム置換率を変化させた供試体を作製し、シリカフューム混和による細孔構造の緻密化と水分浸透性に与える影響を検討した。また、同程度の粒度であるが、ポゾラン反応を有しない石灰石微粉末を比較対象とし、同一の置換率の供試体の水分浸透特性を把握し、水分浸透に対するポゾラン反応の寄与について検討した。また、実環境を想定した乾湿繰返しにおける水分浸透およびその後の挙動についての検討も行った。その結果、シリカフュームを混和したコンクリートにおいては,吸水面から内部へ浸透する際に、ある深さ以降の浸透がきわめて小さくなり、5%程度を混和した場合にも大きな水分浸透抑制効果が得られた。ポゾラン反応を有しない石灰石微粉末によるマイクロフィラー効果のみでは、シリカフュームと同様の水分浸透抑制効果を得ることは困難であり、マイクロフィラー効果に加え、ポゾラン反応によって組織の連続性を低下させるものによることが明らかとなった。乾湿環境下においては、W/C=35%よりは吸水量は大きくなったものの、W/C=55%の無混和のものより小さく、高い水分浸透抑制効果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画に基づき、以下の結果が得られた。 ・シリカフューム混和コンクリートの水分浸透特性について中性子イメージングによって、無混和とは異なる浸透特性を明らかにすることができた。 ・混和率が小さい場合にも高い水分浸透抑制効果が得られることを明らかにした。 ・さらに、空隙率に関する検討から、緻密化のメカニズムとして、水分浸透に関わる組織の連続性を低下させることを明らかにした。 当初計画した課題をクリアしており、概ね順調に進呈していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、初年度の成果に基づき、具体的なコンクリート構造物の劣化に対するシリカフューム混和の効果に関して検討を行う。シリカフュームのコンクリートへの混和によって、高い水分浸透抑制が得られることは明らかになった。しかし、シリカフュームを混和した場合、ポゾラン反応によって無混和のコンクリートより細孔溶液のpHが低くなる。そのため、塩化物イオンが浸透した場合の腐食抵抗性は小さいとされている。2024年度は、塩害に焦点をあて、乾湿作用下の腐食抑制能について検討を行うこととした。
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