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電着析出物のくさび効果を利用した疲労き裂の進展抑制技術に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K04001
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
研究機関国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所

研究代表者

高橋 一比古  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 研究員 (30425748)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード疲労き裂 / 鋼構造物 / 補修 / き裂進展抑制シート / 電着析出物 / くさび効果 / 含水ジェル / 湿潤環境 / き裂進展速度
研究開始時の研究の概要

疲労き裂内で電着析出反応が促進されるような湿潤環境及び電気化学的回路を、現場で簡便かつ局所限定的に形成して一定期間保持し、発生した硬い電着析出物のくさび効果により、き裂進展を効果的に抑制できるき裂進展抑制シートを創製する。
湿潤環境及び電気化学的回路を局所限定的に実現する手段として、元々はヘルスケア用に開発された高含水率の含水ジェルを用い、これに電解液を含浸させて流電陽極層と共に鋼・アルミ合金等の試験片に適用して疲労試験を行い、有効性を検証する。CO2を供給する通気孔を設けるなど通気手段の最適化を図ると同時に、反応を促進する要因として電解液の組成や流電陽極層の材質/構造についても検討を行う。

研究実績の概要

海水中に浸漬し、電気防食を施された構造物に疲労き裂が生じると、き裂の内部に硬い電着析出物が生じ、所謂くさび効果によってき裂進展速度が大幅に抑制される場合があるが、この現象を大気中のほぼ乾燥した状態で稼働する構造物に利用する技術はこれまで見当たらなかった。
そこで本研究では、き裂内で電着析出反応が促進されるような湿潤環境及び電気化学的回路を、現場で簡便かつ局所限定的に形成して一定期間保持し、発生した硬い電着析出物のくさび効果により、従来は困難であったき裂先端近傍においてもき裂の進展を効果的に抑制できるき裂進展抑制シートを創製する。適度な湿潤環境及び電気化学的回路を局所限定的に実現する手段として、元々はヘルスケア(冷却)用に開発された高含水率の含水ジェルを用い、これに電解液を含浸させて流電陽極層と共に鋼・アルミ合金等の試験片に適用して疲労試験を行い、有効性を検証する。また、反応を促進する因子として、電解液の組成や流電陽極層についても検討する。
2023年度は、アルミ合金製の切欠き付き平板試験片を用いたき裂進展試験を行い、き裂進展抑制シートの有効性について検証した。具体的には、市販の含水ジェルシートを塩水及び人工海水に浸漬したものを用いて含水添加物の影響をみるとともに、外部電源を用いた流電陽極層の効果についても比較検討を行った。
その結果、試験片の片側に含水ジェルシートを貼付して外側から外部電源による直流電圧1.0Vを付与したアルミ箔導電テープを流電陽極層として適用し、試験片の反対側は通気口として解放した場合、含水として塩水及び人工海水を用いると、き裂進展抑制効果が発現し、母材ままの場合に対する寿命比はそれぞれ3.8倍及び7.1倍となった。鋼製の平板試験片に関する予備試験の結果も含め、これまでに得られた成果をまとめ、溶接学会の溶接疲労強度研究委員会において講演を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、予備試験も含め、鋼およびアルミ合金製の切欠き付き平板試験片を用いたき裂進展試験を行い、き裂進展抑制シートの有効性について検証した。具体的には、市販の含水ジェルシートを塩水及び人工海水に浸漬したものを用いて含水添加物の影響をみるとともに、亜鉛箔の導電性テープや外部電源を用いた流電陽極層の効果についても比較検討を行った。
その結果、鋼製平板試験片においては、人工海水の含水ジェルシートに亜鉛箔の導電性テープを流電陽極層として積層した場合の母材ままの場合に対する寿命比は6.0倍となり、き裂周辺の母材をあまり腐食させることなく、き裂進展を抑制できることが判明した。
一方、アルミ合金製平板試験片においては、試験片の片側に含水ジェルシートを貼付して外側から外部電源による直流電圧1.0Vを付与したアルミ箔導電テープを流電陽極層として適用し、試験片の反対側は通気口として解放した場合、含水液として塩水及び人工海水を用いると、き裂進展抑制効果が発現し、母材ままの場合に対する寿命比はそれぞれ3.8倍及び7.1倍となった。2023年度は、これまでに得られた成果をまとめ、溶接学会の溶接疲労強度研究委員会において講演を行った。
以上、種々の実験を通して貴重な研究成果が得られ、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2024年度は、前年度に引き続き、鋼やアルミ合金の切欠き付き平板試験片にき裂進展抑制シートを適用したき裂進展試験を行い、進展抑制効果に影響する様々な因子や進展抑制のメカニズムについて検討する予定である。影響因子としては、前年度に実施した含水添加物や流電陽極層の効果に加え、CO2の供給や応力比の影響等についても調べる予定である。また、上記平板試験片よりも厚板の試験片を用いた場合の有効性や、実用化に向けた課題及び対策についても検討する予定である。
実験及び解析で得られたデータや知見については、随時研究発表や論文投稿、特許出願等を行っていく所存である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高含水ジェルを用いた疲労き裂進展抑制シートの試作と性能評価-き裂内生成物のくさび効果を利用して-2024

    • 著者名/発表者名
      高橋一比古
    • 学会等名
      溶接学会 溶接疲労強度研究委員会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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