研究課題/領域番号 |
23K04006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
木下 幸治 岐阜大学, 工学部, 准教授 (90452169)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 疲労強度向上 / ショットピーニング / 溶接継手 / 止端形状改善 / 残留応力改善 / 鋼構造物 / ハイブリット手法 |
研究開始時の研究の概要 |
2002年に鋼道路橋の疲労設計が導入されたが,それ以前に架設された高齢化した多くの既存の鋼道路橋は疲労に対して不適格であり,応力集中が起こる溶接部の疲労強度の確保が重要な課題である.この課題の達成を目的として,独自に開発した橋梁用ショットピーニングを用いた溶接部の形状・残留応力改善技術を併用した両改善技術の優位性を有効に発揮する次世代型ハイブリット疲労強度向上法を新たに開発した.ここでは,次世代型ハイブリッド疲労強度向上法の疲労強度向上機構の全容解明とその新しい設計法を提示する.形状・残留応力改善技術を併用した次世代型ハイブリッド疲労強度向上法とその設計法は申請者が確立する独自のものである.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,次世代型ハイブリッド疲労強度向上法の強度向上機構を解明し,形状・残留応力改善技術の両技術の優位性を反映可能な新しい設計手法を提示することである.具体的には,申請者が開発した橋梁用ショットピーニング(SP-B)による溶接止端形状改善の施工時間の管理方法を決定したハイブリッド疲労強度向上手法を確立した後に,形状・残留応力改善技術の効果を識別可能とする複数の荷重条件下の疲労試験,X線を用いた残留応力測定や数値シミュレーション等に基づき,その手法の効果の機構を解明する.その上で,疲労試験結果に基づき本提案手法の設計法の妥当性を検証する. 本研究目的の基、2023年度の研究実績を以下に示す。 ・SP-Bによる溶接止端形状改善方法を施した溶接継手試験体を用いた疲労試験を行い、本手法による疲労強度向上効果についてデータを蓄積した。ここでは、溶接部に内在する溶接きずの有無によるSP-Bの効果についても検討した。本成果については、2024年11月に開催されるの国内の学術シンポジウム(査読付き)にて研究発表を行う予定である。 ・国際溶接学会の年次大会にて、「Direct Shot Velocity Measurement and a Numerical Simulation of Shot Peening for Welded joints」という題目にて、高速度カメラを用いたショットピーニング時のショット材を速度を計測した先端計測技術を用いた検討,ならびに動的陽解法を用いたショットピーニングの数値解析手法に関する研究発表を行った。 ・本研究開始に伴い開始した米国Purdue大学との共同研究であるSP-Bの疲労強度向上効果の検証において、Purdue大学で実施予定の疲労試験体に対し、SP-B施工を完了し、米国への試験体搬送を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・2023年度中に実施した疲労試験を基に、提案手法の施工条件について、SP-Bによる溶接部の切削スピードと出来高形状となる形状改善効果を基に、概ね施工条件を決定することができた。 ・2024年度実施予定の応力比・鋼材強度と圧縮残留応力消失メカニズムについても上記に並行して疲労試験を進めることができ、X線残留応力測定と金属組織観察などを実施できた。特に、100年以上経過した古い鋼材に対するピーニング処理の効果について金属組織観察に基づく検討を実施した。 ・当初研究計画になく、本研究開始後から米国Purdue大学との共同でのSP-Bの疲労強度向上効果の検証を開始し、Purdue大学でのピーニング処理部の残留応力計測などを終えるとともに、現在、Purdue大学で実施予定の疲労試験体へのSP-Bの施工を終えた試験体の米国への搬送を終えている。 以上のように、当初計画よりも前倒しで試験結果を蓄積しているのみならず、新たに米国Purdue大学との共同研究を開始するなど、計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、以下に示す研究計画に基づき、「次世代型ハイブリット手法の品質管理のための施工条件の決定」と、「次世代型ハイブリット手法の疲労強度向上効果に及ぼす応力比・鋼材強度の影響と圧縮残留応力消失メカニズムの解明」、さらには「「形状改善手法」と「残留応力改善手法」を併用した場合の相乗効果の解明に基づく次世代型ハイブリット手法の疲労強度向上機構の全容解明」について検討を進めるとともに、新たに加えた米国Purdue大学とのSP-Bの疲労強度向上効果に関する共同研究について進める。1.「次世代型ハイブリット手法の品質管理のための施工条件の決定」:引き続き、SP-Bを施した疲労試験結果と分析結果を蓄積し、当初目的達成を進める。2.「次世代型ハイブリット手法の疲労強度向上効果に及ぼす応力比・鋼材強度の影響と圧縮残留応力消失メカニズムの解明」:引き続き、SP-Bを施した疲労試験結果と分析結果を蓄積し、当初目的達成を進める。3.「「形状改善手法」と「残留応力改善手法」を併用した場合の相乗効果の解明に基づく次世代型ハイブリット手法の疲労強度向上機構の全容解明」:蓄積した疲労試験結果と分析結果を基に、その全容解明を進める。4.「米国Purdue大学とのSP-Bの疲労強度向上効果に関する共同研究」:Purdue大学が所有する最先端の3次元X線CTシステムと連動させた最先端のき裂発生・進展追跡疲労試験システムを用いて、SP-Bを施した溶接継手疲労試験体の疲労試験中のき裂発生・進展挙動を明らかとして、疲労強度向上機構の全容解明に活用する。
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