研究課題/領域番号 |
23K04019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
磯部 公一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452084)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 流木 / 橋梁 / 地すべり / 機械学習 / 統計分析 / 広域危険度予測 / AI / 気候変動 / 危険度評価 |
研究開始時の研究の概要 |
過去に北海道で発生した記録的豪雨による渡河橋梁の被害事例に対し,国土交通省北海道開発局と北海道建設部所有の橋梁台帳,点検調書データに基づき,被害状況とその被害要因を統合したデータベースを作成し,統計的手法による渡河橋梁直接基礎の洗掘,ならびに橋台背面地盤の侵食被害に対する危険度評価を行ってきた.これらの評価手法に,新たに各橋梁の河積阻害率,ならびに流木発生ポテンシャルに基づいた流木捕捉量,澪筋の季節変化と橋脚・橋台との位置関係など,より直接的な素因情報を加えることで,豪雨時・融雪期の橋梁被害に対する危険度評価手法の高精度化を目指す.
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研究実績の概要 |
①流木発生源のAI予測:十勝川流域における過去の地すべり履歴と標高,傾斜方向,傾斜角,曲率,累積流量などの地形情報や平年雨量に関する定量データと地形や地質,植生情報に関する定性データの合計18素因情報を用いた機械学習手法に基づく地すべり危険度予測を行った。その結果に基づき,十勝川流域における流木発生源,供給源を抽出した。 ②流木発生ポテンシャル,流木捕捉量の推定:上記で抽出した流木発生源,供給源を基に,流木発生ポテンシャル,各橋梁における流木捕捉量を推定した。 ③渡河橋梁の被害タイプ別危険度評価の高精度化:さらに,既報で報告した橋梁被災リスク評価手法に,上述で推定した各橋梁の流木捕捉推定量と,橋梁一般図から読み取った河積阻害率を新たに素因として加えた,機械学習による橋梁被災リスク評価モデルを構築し,平成28年8月北海道豪雨の被災状況と比較した。その結果,ANN, KNN, MLPの機械学習モデルにおいて高い危険度予測精度を示し,相対的に危険度の高い橋梁が流域北西部に多く存在し,平成28年8月北海道豪雨の被災状況と一致する結果を示す一方で,平成28年8月北海道豪雨では被災しなかったものの被災橋梁と同様の特徴を有する橋梁が流域北東部にも存在していることを明らかにした。加えて,橋台背面地盤の侵食被害事例が多い径間数が1の橋梁で,流木捕捉量の寄与が大きく,被災事例の特徴と整合する傾向を示した。 以上から,従来より信頼性が高く,確率論的な橋梁被災予測モデルへと進化させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十勝川流域のみに限定されるが,当初2024年以降に計画していた渡河橋梁の被害タイプ別危険度評価の高精度化を実現していることから,計画以上に進展している。 一方で,広域土砂災害危険度評価手法の高精度化,汎化性能の向上,澪筋の季節変化と橋脚・橋台との位置関係の整理などの完了していない作業もあるため,(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①流木発生源のAI予測では,広域土砂災害危険度評価手法の高精度化,汎化性能の向上を実現するために,CNNなどの深層学習手法を採用し,斜面災害規模に応じた新しい汎化性能の高い危険度評価モデルの構築を目指す。 ③渡河橋梁の被害タイプ別危険度評価の高精度化では、澪筋の季節変化と橋脚・橋台との位置関係の整理を完成させ,更なる予測精度向上に努める。 上記を完遂後,道内,道外問わず,対象地域を拡大し,その適用性を検証する予定である。
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