研究課題/領域番号 |
23K04022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
早野 公敏 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (40302632)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 土壌改質 / 産業副産物 / 二酸化炭素 / 中性化 / 軟弱泥土 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,軟弱泥土に産業副産物を混合した改質土の中性化にともなう二酸化炭素の固定挙動と物性変化を解明し,土壌改質のネガティブエミッション技術体系の基礎を構築することである.そのために以下の内容を実施する. ・改質土の中性化にともなうpH・CO2固定量の経時変化の予測モデルの構築 ・中性化に伴う改質土の物性変化に着目した室内試験結果の配合設計への適用
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研究実績の概要 |
建設汚泥は, 発生あるいは中間処理においてセメント系固化材などで改質され,高アルカリ性を示すことが多い.一方,近年,製紙工場の廃棄物であるペーパースラッジ灰を主成分としたペーパースラッジ系改質材(PSAS)で建設汚泥を改質しCO2ガスを通気して中性化したのち,再資源化することが行われている.しかし,中性化に要する期間は,改質土や通気の条件によって変動する場合があり,これらの影響を把握する必要がある.また,中性化は改質土中のCa成分などの炭酸塩化により生じる結果であり,CO2の固定化も生じている. そこで2023年度(本研究の1年目)では,カラム試験を実施し,供試体・通気条件が改質土の中性化・CO2固定化に及ぼす影響を検討した.w=1.0wLの青粘土(wL=40.7%, wP=23.7%)に, 銑鉄の副産物(高炉スラグ)を利用した高炉セメントとPSASそれぞれ乾燥質量比で3%, 20%添加し改質土を作製した.PSASを添加して改質するのは,中性化の進行を促進できることが分かっているためである.なお,改質後の土の含水比は約30%である.この改質土を用いて,直径D=100mm, 高さh=127~750mmのカラム供試体(乾燥密度ρd=0.75~1.11g/cm3)を作製し,濃度2.55~10%のCO2ガスを流量Q=0.5, 1.0, 1.5L/minで通気させ,中性化を実施した.その結果,乾燥密度,CO2濃度,流量,供試体高さは,中性化完了期間に影響を及ぼす一方で,改質土乾燥質量1gの最大固定CO2量mCO2に及ぼす影響は顕著に認められなかった. また,中性化・CO2固定化が改質土の強度に及ぼす影響を検証するために,コーン指数試験を実施した.その結果,中性化・CO2固定化によりコーン指数の低下傾向が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,①種々の要因が中性化および二酸化炭素固定に及ぼす影響の解明,②改質土の中性化にともなうpH・CO2固定量の経時変化のモデル化,③改質土の中性化にともなう物性変化の解明と配合設計への利用,という3つの実施項目を予定している.この3項目のうち,2023年度は,①種々の要因が改質土の中性化および二酸化炭素固定に及ぼす影響の解明,③改質土の中性化にともなう物性変化の解明と配合設計への利用,の2項目を実施する計画であり,予定通り実施した.その結果,①に対しては,CO2透過カラム試験を実施し,乾燥密度,CO2濃度,流量,供試体高さは中性化完了期間に影響を及ぼす一方で,改質土乾燥質量1gの最大固定CO2量mCO2に及ぼす影響は顕著に認められない,という知見が得られた.また,③に対しては,コーン指数試験を実施し,中性化・CO2固定化によりコーン指数(強度)の低下傾向が認められる,という知見が得られた.これらの知見により,次年度の研究計画を予定通り実施していくことが可能であるため,おおむね順調に進展していると考えられる,
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,CO2透過カラム試験を引き続き実施し,中性化・CO2固定化に及ぼす流量制御の効果を調査する.そして,同一配合・養生条件で供試体高さの異なるCO2透過カラム型試験を実施し,中性化・CO2固定化にともなう改質土のCO2濃度の時空間分布,所定のCO2濃度・流量で養生される改質土内のpHおよびCO2濃度の時空間分布をシミュレーションできるモデルを構築する.さらに,室内試験を実施して中性化・CO2固定化が改質土の強度や締固め特性,乾湿繰返し耐久性,水浸膨張性に及ぼす影響を明らかにする.
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