研究課題/領域番号 |
23K04024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤本 明宏 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (90456434)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 地すべり / 融雪水 / 地表面到達水 / 地表面流出水 / 地面浸透水 / 積雪状態解析 / 地下水位変動解析 / 斜面安定解析 / 融雪 / 積雪状態 / 地盤災害 / 地下水位 / 斜面安定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、積雪に覆われた地盤災害の危険性を評価することを目的とする。そのために、積雪地域の地すべり地において冬期観測を実施し、気象、地下水位、地盤変位、積雪を通って地面に到達する水量(地面到達水量)および地表面を流れる水量(地表面流出水量)を測定する。これらの測定結果を用いて、積雪下の地中に浸透する水量(地中浸透水量)と地表面流出率(地表面流出水量/地表面到達水量)を明らかにする。また、実測値との比較により、積雪状態、地下水変動、斜面安定の解析について検証する。また、数値シミュレーションより、豪雪時の地盤災害の危険性を評価する。
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研究実績の概要 |
本研究では、融雪水を誘因とする地盤災害の危険性評価手法を構築する。具体的には、積雪を通過して地面に到達する水量(地表面到達水量)から積雪下の地面に浸透する水量(地中浸透水量)を求めるために、実際の地すべり地で地表面を流れる水量(地表面流出水量)と地表面到達水量の観測を行い、地表面流出率(地表面流出水量/地表面到達水量)を評価する。つぎに、地表面流出率を考慮して、地表面到達水量および地中浸透水量を計算する積雪状態解析モデルを構築し、積雪深や地表面到達水量について野外での実測値と比較してモデルの妥当性を検証する。さらに、地下水位変動解析と斜面安定解析を連携し、これらの計算結果についても妥当性を検証する。最後に、積雪状態-地下水位変動-斜面安定解析の数値シミュレーションから、積雪量の増大による地盤災害の危険性を評価する手法を確立する。 2023年度は地すべり地において、2023年12月5日から気象観測、地盤表層温度測定、地表面到達水量および地表面流出水量の測定を実施した。気象観測では気温、相対湿度、風速、日射、大気放射および積雪深の測定を行った。これらの気象観測装置はおよそ標高500mにある平場にポールを立て、積雪より高い位置として3mの高さに取り付けた。地表面到達水量と地表面流出水量は,地中に高さ4mの単管を4本立て,その周りをビニールで覆うことにより,周囲との水分移動を遮断した正四角柱の中で測定した。地表面流出水量は 10%,20%および 30%の斜面勾配でそれぞれ測定した。また,1時間間隔で積雪状況をカメラで撮影し,各日午前10時のカメラ画像から積雪深を読み取った。加えて、地盤内に土壌水分計を埋設し、土中の体積含水率の測定も実施した。観測は消雪した後に一度データを回収したが継続しており、非積雪時の野外観測を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冬期までの地下水位と降雨データを入手し、地下水位変動解析を実施した。地下水位の解析値と実測値は一致しつつあるが、透水係数など調整を行いつつ、該当地盤の水移動を把握に努めている。 実際の地すべり地において野外観測のための装置を設置した。概ね計画のとおり、装置を設置できた。観測も予定どおり、降雪の前から開始できた。暖冬の影響により、降雪量が予定より少なかったものの、最大で1.4 m程度の積雪があり、積雪時の地表面流出率の評価は行える見込みである。また、積雪状態解析モデルの妥当性を検証するためのデータとしても問題のない積雪深であった。まずは、得られたデータを分析し、データの妥当性を検証する。積雪状態解析モデルの構築については、地表面排出率の定式化が完了次第、行う予定である。 以上、融雪が完了する3月までデータを回収できないため、十分な分析はまだ行えていないものの、当初の計画通り研究を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、まずは昨冬に得られたデータ分析を行う。積雪時における地表面到達水量と地表面流出水量から地表面排出率を求め、地表面到達水量および斜面勾配が地表面排出率に及ぼす影響を明らかにする。また、非積雪時の地表面排出率も算出し、積雪時のそれと比較検証する。 土中の体積含水率のデータが良好に取れていない可能性があり、非積雪期のデータも回収し、検証している。これらのデータ分析からデータの良否を判断し、必要があればセンサーの設置をやり直す。いずれにしても、非積雪期の地表面到達水量と地表面流出水量に加えて、土中の体積含水率のデータを取得し、降雨強度や体積含水率が地表面排出率に及ぼす影響について定量的な評価を試みる。 昨冬に測定した気象データと積雪深データを用いて積雪状態解析モデルの妥当性を検証する。モデルの妥当性は積雪深および地表面到達水量の計測値と実測値の比較を通じて行う。 冬期の地面到達水量と地表面排出率を用いて地面浸透水量を評価する。これを用いて、積雪時の地下水位変動解析を行い、地下水位の実測値と解析値を比較する。 これらの研究を踏まえて、装置の改良を行う可能性があるが、基本的には昨冬の同じ観測を次の冬期間にも実施し、データの蓄積を行う。次年度の目標は地表面流出率の定量的評価、積雪状態解析モデルの妥当性検証、冬期間に地下水位変動解析の妥当性検証である。
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