研究課題/領域番号 |
23K04036
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
|
研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
荒牧 憲隆 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 教授 (00299661)
|
研究分担者 |
長谷川 雄基 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 講師 (70797092)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 人工地盤材料 / 地盤防災 / 短繊維補強土 / セメント安定処理土 / 流動化処理土 / 硬化遅延 / 透水性 / 廃棄物 / 資源循環 / 耐震性 / 耐浸食性 / 重金属溶出 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,種々の土構造物で耐震および豪雨対策の総合的な強化が進められている。都市部での土構造物は,住宅地等に近接している場合も多く,経済的,迅速な耐災補強工法の開発が重要な課題である。一方,古くに築造されたため池では,老朽化した堤体盛土等の土構造物の安全性が危惧されるだけではなく,底質には粘性土系の泥土が堆積し,周辺環境に悪影響を及ぼす場合がある。本研究では,材料,構造および環境の面から総合的に取り組み,低利用資源を有効利用した高靱性を有する人工地盤材料の高付加価値化を図る資源循環技術開発,これを用いた耐震性と耐浸食性を向上させた環境配慮型土構造物補強技術の確立を目的としている。
|
研究実績の概要 |
近年の自然災害による被害を受け,ため池堤体などの土構造物において耐震および豪雨対策の総合的な強化が進められている。一方,古いため池では,老朽化に伴う土構造物の安全性が危惧されるだけではなく,底質には泥土が堆積している場合が多く,底質の悪化など環境的課題も含まれる。本研究は,材料,構造および環境の面から総合的に取り組み,低利用資源を有効利用した高靱性を有する人工地盤材料の高付加価値化を図る資源循環技術としての展開,これを用いた耐震性と耐浸食性を向上させた環境配慮型土構造物補強技術の確立を目的としている。 令和5年度における研究計画において,①土に,リサイクル繊維資源を混合し,室内配合試験から繊維系補強材の有効利用の可能性について検討,②固化材の硬化時間調整のため,クエン酸を含んだ酒粕廃棄物を利用し,これらを混合して作製した固化処理土や流動化処理土の材料特性の評価を行った。 得られた知見から,まず,廃材を混合した短繊維補強土の一軸圧縮強さにおいて,強さが最大となる最適な廃材混合率があることが分かった。また,短繊維補強土の透水性について,廃材混合率,締固め度に依存することなく,繊維材混合の影響は小さいことが明らかとなった。 次に,泡盛酒粕汚泥を有効利用したセメント安定処理土の材料特性において,酒粕汚泥中のクエン酸による硬化遅延効果で,安定処理土の硬化時間の調整できることが分かった。これは,試薬であるクエン酸を混合した条件と同じ傾向を示し,泡盛酒粕汚泥の地盤改良への有用性を示した。最後に,クエン酸を混合した流動化処理土の材料特性において,そのフロー値,ブリーディング率,一軸圧縮強さで目標値を満たしつつ,クエン酸混合による処理土の流動性の増加,若齢時における硬化遅延効果が確認された。クエン酸が流動化処理土においても同じように硬化遅延材として用いることが可能であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行にあたって,大きなトラブルもなく,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
繊維系廃棄物や食品廃棄物を有効利用することで,脆弱な土質材料盤への補強効果や固化材の硬化時間調整があることは認められた。次年度においても,耐震性と耐浸食性を有する高靱性人工地盤材料を開発するにあたって,配合条件の検討や繊維材の選定を行うことにより,より高度化された材料開発を行う予定である。 また,令和6年度において,安定処理土や流動化処理土の作製において,石膏やセメント系固化材を用いる。固化材を利用した場合などは,環境汚染防止のためにも,重金属などの有害物質の溶出問題もクリアしなければならない。このことから,それぞれの処理土からのフッ素,ホウ素や六価クロムの溶出試験も併せて実施する予定である。
|