研究課題/領域番号 |
23K04038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩崎 理樹 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70727619)
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研究分担者 |
山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10554959)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 不確実性 / 河床変動 / 河岸侵食 / クラスタリング / k-shape / iRIC-Nays2DH / 河道脆弱性 / 大規模アンサンブルデータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,河川内の洪水流とそれに引き起こされる河床変動の相互作用系に対する流量などの外的要因,また流砂過程などの物理機構に内在する内的要因に含まれる不確実性の影響を定量化し,これら不確実性を含む複雑な相互作用系が引き起こす河道内構造物の破損や堤防欠損,それら河道内被災に起因する洪水氾濫などの河道被災ポテンシャルを評価しようとするものである.不確実性評価に当たっては,データ数に制約のある観測データだけではなく,近年整備されていきた数値計算による大量データも利用することで外的要因について評価し,近年発達が著しい数値計算技術を用いたパラメータスタディにより内的不確実性について把握することを目指す.
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研究実績の概要 |
北海道十勝川水系ペケレベツ川を対象とし,d4PDF降雨データを力学的ダウンスケーリングした詳細降雨分布計算結果に対して流出計算を実施し整理されている多数の年最大イベントのハイドログラフ群をk-shapeクラスタリングによって分類し,特徴的なハイドログラフ形状について検討した.その結果,ハイドログラフは大まかに最大ピーク前後に第2のピークを持つかか,また最大ピークと第二ピーク間の時間が離れているか,で5つに分類できることを示した.同様の解析をより規模の大きな河川である同水系の音更川へ適用したところ,概ね同様の波形特性で分類できることを確認したが,音更川のほうが流量波形のばらつきがより大きく,流域規模によって流量の不確実性は異なることが示唆された.
このように分類されたハイドログラフがどのような河床変動を引き起こすかについて,iRIC-Nays2DHによる計算を実施した.平成28年9月豪雨時の流量と同一のピーク流量を有するハイドログラフを各クラスターより抽出し,これらを上流端境界条件とした河床変動計算を実施することで,河床・河岸侵食に及ぼす流量波形の影響について定量的に評価した.その結果,流量波形に応じて河岸侵食量に違いがあり,特に最大ピークよりも前に第二ピークがあるハイドログラフでは,前半のピークによって河岸侵食が進行することで河道内に土砂堆積を引き起こすため,最大ピーク時にはその河床上昇によって流路が変動しやすく,側岸侵食が大きくなりえることが明らかとなった.
上記のような河床変動に及ぼす外的不確実性影響とは別に,流砂モデルが持つ内的不確実性の影響を評価するために,蛇行流路における混合砂河床を対象とした室内実験結果に対して,流砂モデルや遮蔽効果,また代表粒径の取り方などを変化させた河床変動計算を行い,再現性に対する各種流砂モデル要素が及ぼす影響について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り,流量ハイドログラフの不確実性についてd4PDF関連の研究より整理されている大規模流量データを解析することにより定量的に評価でき,さらにこれら流量の不確実性が河床変動結果に与える影響についても検討することができた.内的不確実性の影響についても,河床変動計算において最も不確実性の影響が大きいと考えられる流砂モデルの選択に関しても実験結果との比較を通じて検討しており,全体的に順調に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
音更川において整理した流量ハイドログラフ群が持つ河床変動への不確実性について検討し,ペケレベツ川との際について考察することでスケール効果について議論する.また,内的不確実性については,同種の検討を実河川スケールで検討することで,実際の河川災害を評価するうえでの不確実性について議論する.
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