研究課題/領域番号 |
23K04048
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
遠藤 徹 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00527773)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ブルーカーボン / ヨシ / 炭素固定 / 炭素貯留 / 炭素含有率 / 人工湿地 |
研究開始時の研究の概要 |
2050年における二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする脱炭素社会の実現に向けて、吸収源対策の強化が望まれている。 本研究は、大阪市の港湾海域に造成された人工湿地をモデルサイトとして、①ヨシ草体の含有難分解有機炭素量の簡易分析手法の構築、②通年調査によるヨシの年間の炭素固定量の評価、③堆積層の年代測定によるヨシ原の炭素貯留速の評価、について検討する。 身近な生活圏に群落するヨシ生態系は、多様な生態系サービスを有するとともに人為管理が可能なため、本研究の成果はヨシを吸収源対策とした低炭素で自然共生を両立した新たな都市型ブルーカーボン生態系の創出に貢献することが期待できる。
|
研究実績の概要 |
2050年における二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする脱炭素社会の実現に向けて、生態系を活用した吸収源対策の強化が望まれている。本研究は、都市型ブルーカーボン生態系として国内の淡水域から河口域に広く分布するヨシ生態系に着目し、ヨシによる炭素固定能とヨシ帯における炭素貯留能を現地調査によって明し、ヨシ生態系によるブルーカーボン効果のポテンシャルを評価すること目的とする。 2023年度は、大阪市の港湾海域に人工的に造成された大阪南港野鳥園の湿地帯に分布するヨシを対象に現地調査を実施し、年間における地上部と地下部の現存量の経月変化を明らかにするとともに、各部位の炭素含有率を分析して単位面積当たりの炭素貯留量を求めた。 現地調査では、2023年6月から2024年3月にかけてコドラート法によるヨシのサンプル調査を毎月実施し、地上部(穂・葉・茎)と枯死体および地下茎の現存量(ヨシの本数、ヨシの長さと茎径、各部位の乾燥重量)を調べた。その結果、ヨシ地上部の乾燥重量は、茎長と末端茎径の積に高い相関があることが明らかとなった。また、CHNコーダにより燃焼温度を変化させて分析し、地上部、枯死体、地下茎の炭素含有率と難分解成分の炭素含有率を明らかにした。これらの結果から、茎長と末端茎径を計測することでヨシ個体の炭素固定量と貯留量を簡便に評価できることがわかった。さらに、大阪南港野鳥園のヨシ帯の最終収量と炭素含有率から単位面積当たりの炭素固定量と炭素貯留量を推定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年間を通したヨシの現地調査により、ヨシのライフサイクルにおける各地位の現存量に関する基礎データを収集することができたとともに、ヨシのサイズから現存量を簡易的に推定可能なモデルを構築することができた。一方、ヨシの現存量調査を2年間実施して現地調査のデータの信頼性を上げることを優先したため、初年度に実施予定であったヨシの生分解試験は2年目に実施することにした。 以上より、計画変更はあったものの全体を通した進捗状況としてはおおむね計画通りであると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
年間にわたるヨシの現存量調査を引き続き継続し、採取場所によるヨシ現存量のばらつきに着目した原単位化について検討する。また、初年度実施できなかったヨシの100日間生分解試験とCHNコーダによる燃焼温度別の炭素量測定を実施し、CHNコーダによる難分解有機炭素の簡易分析手法を構築する。
|