研究課題/領域番号 |
23K04056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
富山 和也 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70589580)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 路面評価 / 歩行空間 / 歩行者 / 自転車 / 電動キックボード / 安全性・快適性 / 生理心理反応 / 精神的ストレス / 生理心理 / モビリティ / 三次元計測 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,誰もが安全・快適に利用できる,人を中心とした歩行空間の需要が高まっている.しかし,人との接点となる路面の既存評価手法は車道を対象としたものが主であり,歩行空間への適用が困難である.そこで本研究では,歩行空間における移動形態の多様性および面的な動線の広がりを考慮し,道路利用者の生理心理反応に基づく,人間中心の路面評価手法の開発を目指す.具体的には,(1) 路面の三次元計測により人に影響を及ぼす路面凹凸を把握し,(2) 信号処理手法を駆使した路面の三次元解析によりその影響を可視化するとともに,(3) 利用者の潜在的および顕在的な生理心理反応に基づく路面評価手法の確立と妥当性の検証を行う.
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研究実績の概要 |
今日,地域を豊かにするための賑わいある道路空間創出に対するニーズが増加しており,人を中心とした安全・快適な歩行空間の整備が必要不可欠となっている.しかし,車道に比べ移動形態が多様であり動線が面的な広がりをもつ歩行空間では,従来の車道を対象とした路面評価手法の適用が困難となっている.そこで,本研究課題では,道路の多様な移動形態に対応した合理的な路面評価手法の確立を目的に,今年度は,歩行と電動キックボードおよび自転車を対象に,既存研究を整理し北見工業大学構内において路面計測と利用者試験を実施した. 歩行試験では,筋活動電位を計測し得られた歩行者の脚部筋肉に対する負担と,歩行空間における面的な動線を考慮し三次元的に計測された路面性状の関係を明らかにし,三次元点群のコンター図により,歩行者が負担に感じる地点を可視化できる可能性を見出した. 電動キックボードの走行試験では,路面を入力とした振動モデルを構築し乗り心地指標を提案するとともに,主観評価との相関性を確認した.さらに,本研究では,電動キックボード利用者の生理心理反応に着目し,皮膚電気活動から乗車時の精神的ストレスの把握を試みた.その結果,走行速度が上昇するにつれ路面由来のストレスも増加する傾向が示されたものの,操縦安定性のような路面以外の影響も大きく,生理心理反応により潜在意識を把握する上での課題が明らかとなった. 自転車の走行試験では,特に幼児用座席に対する路面の影響に着目し,路面プロファイルと車両振動の相互作用分析から,幼児への危険性が懸念される路面の段差量の目安を示し,利用者の安全性に立脚した路面管理に直結する成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,北見工業大学構内で実施した利用者試験により,多様な移動形態に対応した路面評価手法について検討を行った.その結果,歩行者を対象とした検討では,筋活動電位に着目することで,路面の「歩きやすさ」につながる筋肉への負担を定量化できる可能性を見出した.さらに,歩行者の面的な動線を考慮した評価について,三次元路面計測データから歩きやすさにつながる歩幅と対応した成分を抽出することで,今後,路面の物理性状と人の生理心理反応とを関連づけるための知見を得ている.電動キックボードを対象とした検討では,乗り心地に着目した路面評価に資する振動モデルを構築し,利用者意識の観点からモデルの妥当性を確認している.また,電動キックボードのようなパーソナルモビリティ乗車時の精神的ストレスに対しては,操縦安定性のように路面以外の影響が大きく,走行試験において生理心理反応に基づき潜在的ストレスを把握する際のシナリオ設計における課題が明らかとなった.自転車を対象とした検討では,路面管理の目安となる段差量を示すことができ,次年度計画している実道試験に向けた準備が整っている状況である.なお,研究成果の一部は,国内学会や国際会議および学術雑誌において発表を行った.以上の通り,本研究課題は,今年度準備段階の研究成果を活用できたこともあり,当初の計画以上に進展しているものといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,歩行と電動キックボードおよび自転車の幼児用座席を対象に,北見工業大学構内の歩行空間において利用者試験を実施した.今後は,供用中の歩道および歩行空間における路面の三次元計測および利用者試験を実施し,得られた結果と照合することで今年度の研究成果の妥当性を検証する計画である.実道試験は,既に共同研究実績のある地方公共団体の協力を得て実施予定であり,合わせて,道路管理に対する問題と課題および利用者ニーズを把握するため,管理者へのヒアリングを行う予定である.その後,研究成果の社会実装を見据え,各利用者の生理心理反応に影響を及ぼす路面の特徴を整理するとともに最適化を図ることで,多様な移動形態に対応した路面評価手法の確立を目指す.
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