研究課題/領域番号 |
23K04064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
菊池 輝 東北工業大学, 工学部, 教授 (00343236)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 注意の切り替え / リスク対応行動 / 選択的注意 / ながら運転 |
研究開始時の研究の概要 |
自動車運転時の「ながら運転」は大変危険な行為であり、運転中の携帯電話やスマートフォンの操作は法律で禁じられている。本研究は、認知心理学分野で盛んに議論されてきた「選択的注意」という現象に着目し、注意対象が切り替わる際の認知的負荷は比較的大きいという仮説のもとで、ながら運転の危険性を明らかにするものである。研究項目は、1)抽象化タスクを用いた認知心理学実験、2)ドライビングシミュレータ実験による運転操作時の注意不足発現状況の推定の2点である。
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研究実績の概要 |
本研究では、自動車の運転操作自体が「視覚や聴覚による交通状況の注意確認」と「手足による車両操作」が同時に求められるマルチタスクと考え、運転時の課題干渉の影響を実験により明らかにすることを目的としている。2023年度は、1)注意対象の切り替えが運転時の危険認知及ぼす影響を把握するための認知心理学実験、および、2)リスク事象に対する態度と対応行動の関係を把握するための認知心理学実験を行った。実験1)では、「ながら運転」を模した課題(文字や図形を認識する・文字を入力する・音声を聞く等)を複数準備し、感覚モダリティの異同と課題難易度を組み合わせた逐次型二重課題実験を設計した。注意を向けるべき対象(課題)は、とある課題の取り組み中にブザーとともに切り替え、その際の反応時間、正答率などを計測し、課題干渉の影響把握を試みた。結果、「課題の難易度」の観点では、難易度が低いときの視覚探索課題のみで注意の切り替えによって探索時間が遅延する場合があることが確認できた。実験2)では、Brinkmanship実験(与えられたタイミングでボタンを押すことで得点が得られるゲーム)の得点関数をプロスペクト理論に基づく効用関数に置き換えた実験を設計し、一般的な事故リスクに対する対応行動の把握を試みた。結果、リスク確率の大きさにより対応行動が異なり、試行を繰り返すごとにその行動は最適化される(ある値に収束する)ことが確認できた。2つの実験を総合して、主観的に容易と感じる複数の作業は、リスク志向の対応行動をとるが、課題の切り替えには想定以上の反応遅れが発生する可能性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定であった抽象化タスクの認知心理学実験を遂行し、注意の切り替えが課題干渉におよぼす影響に関する一定の実験結果を得た。特に課題の難易度に関しては注意切替の影響を確認できたが、感覚モダリティや課題の類似性の観点では十分な知見を得ることができなかった。さらに、当初予定していなかった実験室の移設が2023年度に発生し、認知心理学実験の実施期間が2023年度から2024年度に跨がる形となり、2023年度内に予定サンプルが収集できていない。ただし2024年度前半には終了する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ドライビングシミュレータ実験に向けて、ながら運転実験を再現できるように申請者が所有するドライビングシミュレータを改良する。また2023年度の認知心理学実験を継続し、とくに感覚モダリティと課題の類似性の観点で、注意の切り替えが課題干渉におよぼす影響の有無を確認する。2024年度後半では感覚モダリティの違いを考慮しないドライビングシミュレータ実験を、2025年度には複数の感覚モダリティの違いを考慮したドライビングシミュレータ実験を実施する。なお現時点で大きな計画変更はない。
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