研究課題/領域番号 |
23K04072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
田中 伸治 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (50355913)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 駐車施設 / 附置義務駐車場 / 自動車利用 / 需給バランス / 駐車マネジメント / 駐車場 |
研究開始時の研究の概要 |
近年人々の自動車依存は高まっており、その理由に目的地に駐車施設が必要以上に用意されていることがあげられる。駐車施設附置義務制度は施設整備の下限値を定めるのみで上限値を規定しておらず、店舗の附置駐車場は開発のための「義務」ではなくむしろ集客のための「権利」となっている。 本研究は駐車施設の整備水準が都市の自動車利用を規定するという観点に立ち、目標とする都市交通体系から駐車施設の供給量、路外と路上の配分比率を決定する手法を構築し、それらの運用・管理方法を提示することを目的とする。そして、駐車施設の供給・運用・管理から都市の自動車利用をコントロールする、駐車マネジメントの手法を確立する。
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研究実績の概要 |
本年度は現状の駐車施設の供給量と、それが自動車利用に与える影響を把握するために、自動車利用率が高い地方中核都市として長野市を対象地域に選定し、以下の内容を実施した。 長野市で一般公共の用に供される駐車場について、附置義務駐車施設、届出駐車場、その他の路外駐車場、都市計画駐車場、道路管理者が整備する駐車場といった分類ごとに、自治体担当部署への問合せとともに、届出がされない小規模駐車場(いわゆるコインパーキング)についてはオンラン地図の航空写真から駐車可能台数を調査した。その結果、 長野市内で供給されている駐車場台数は51,261台分であり、2016年の第3回長野都市圏パーソントリップ調査から推計される地区ごとの自動車交通需要に対して平均14倍、最大となる長野駅周辺では63倍の供給過多であることが明らかとなった。 また長野市在住者500人に対するWebアンケート調査を実施し、外出時における駐車場利用実態や公共交通のサービスレベルに応じた駐車場利用意向などについて調査した。その結果、私事目的の外出のうち自家用車を使用する割合は71.7%と最も多く、うち94.2%が目的地に附置されている駐車場(その多くが無料)を利用していることが分かった。 この結果を元に、駐車場利用環境が変化した場合に利用行動を変更するか否かの二項ロジットモデルを構築した。その結果、駐車場を有料化した場合や公共交通の利便性が向上した場合に、現在の駐車行動を変更する可能性があることが示唆された。この自家用車利用から公共交通への手段変更が実現すれば、さらに2,000台以上の駐車場供給量の削減可能性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初策定した研究計画に記載した、駐車施設供給に関する現況調査および駐車施設の利用可能性と自動車利用との関係分析を実施し、それぞれ有用な成果を得ることができたため、順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、適切な駐車施設供給量を算定する手法の構築に取り組む。今年度の成果を踏まえ、都市の規模や土地利用、交通機関整備水準等に応じて、都市内の各地区に整備すべき駐車施設供給量の下限値と上限値を算定する手法を提案する。その際、単なる駐車施設の総量だけでなく、駐車目的や車種など駐車の特性に応じた必要量を区別して求めるモデルを構築する。 また、交通需要を喚起する原因となる土地開発者に対して、附置義務駐車場に代わり開発負担金を課して公共交通整備に役立てるような、駐車施設供給量の見直しに伴って必要な施策についても定量的に提示する。
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