研究課題/領域番号 |
23K04101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | (財)ひょうご環境創造協会(兵庫県環境研究センター) |
研究代表者 |
鈴木 元治 (財)ひょうご環境創造協会(兵庫県環境研究センター), 兵庫県環境研究センター水環境科, 研究員(移行) (20446800)
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研究分担者 |
中谷 祐介 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20635164)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 有機物分解速度 / 栄養塩 / 栄養塩再生速度 / 低次生態系モデル / 低次生態系数値モデル / 難分解性有機物 / 貧栄養化 / COD |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①閉鎖性海域で起きている「貧栄養化とCODが下がらない現象」を実験により再現し、また、現地海域の水質調査を行うことで、貧栄養から中栄養海域において作られる有機物の質(組成比及び分解性)の変化を把握する。 ②得られた情報をもとに、「貧栄養化に伴う有機物の組成変化と難分解化」を再現可能な、貧栄養海域に適用できる低次生態系・COD数値モデルを開発する。モデルの性能評価として、海域の栄養塩類濃度が大きく低下してもCODが下がらない大阪湾西部・播磨灘のCODの経年変化について再現計算を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度には、閉鎖性海域での「CODが下がらない現象」の原因について、既報の観測データを解析して調べた。その結果、全窒素濃度の低下(貧栄養化)によって、海域の有機物の組成変化と難分解化が起きたことがCODを下げない方向に作用したことを明らかにした。 また、貧栄養から中栄養海域における海水中有機物の質(組成比及び分解性)の変化を調べるため、実海水を用いた長期BOD試験(有機物分解試験)を行った。実験海水には、栄養状態の異なる大阪湾北部5地点の6月、9月、12月の海水を用いた。6月の海水は、9月と12月に比べて外海からの栄養塩流入等によって栄養状態が良く、植物プラントン由来の有機物量が増加した。つまり、6月では天然の栄養塩添加による有機物生成が起きていた。有機物分解試験では、50日間の酸素消費量、有機物量、栄養塩類量の変化を測定した。その結果、粒状有機態の炭素C、窒素N、りんPは、どのような栄養状態であっても20日までに迅速に微生物分解されることが分かった。一方で、溶存有機態のC、N、Pは、50日間ではほとんど分解されないことが分かった。この実験により、栄養状態や水温の違いによる有機態CNP分解速度、栄養塩再生速度の情報を収集することが出来た。 数値モデルについては、瀬戸内海を対象とした三次元流動・低次生態系モデルを構築した。また、貧栄養海域における有機物動態を再現する低次生態系モデルの開発に向けて、先行研究で提案された植物プランクトンの増殖・摂取式を低次生態系モデルに適用し、比較検討した。その結果、植物プランクトンの細胞内栄養塩量を考慮したモデルでは、栄養塩濃度が低い環境下において植物プランクトンが体内元素組成比を変化させることで一次生産量を維持する現象が再現され、従来モデルに比べて貧栄養海域への適用性が高いことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では海水に栄養塩類を添加して有機物を生成させて分解試験を行う予定であったが、栄養状態が変わる6月、9月、12月の海水を用いることとした。これにより、栄養塩添加量はコントロールすることは出来なかったが、貧栄養から中栄養海域において実際に生成される、海水中有機物の質(組成比及び分解性)の変化を数値化するための情報を、概ね予定通りに収集することが出来た。これらは、本研究の目的である貧栄養海域に適用できる低次生態系・COD数値モデルの構築に必要な情報となる。 数値モデルに関しては、瀬戸内海を対象に三次元流動・低次生態系モデルを構築し、計算結果を観測結果と比較することで、概ね良好な再現精度が得られることを確認した。当初計画通り、2年目である2024年度には室内実験データを基に低次生態系モデルを改良する準備が整っており、一部先行して進めている状況にある。 得られた成果の一部は、学術論文や国内外の学術講演会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き、貧栄養から中栄養海域における海水中有機物の質(組成比及び分解性)の変化を数値化するための情報を、室内実験を実施して収集する。前年度の実験では、実験海水の有機物分解に伴って溶存酸素が不足することによって実験を終了させたケースがあった。このことから、2024年度は、実験中に酸素が十分に実験水に供給される実験系に変更する。また、有機物の質や栄養状態を人工的に調整した実験海水についても分解実験を実施する。これらにより、幅広くより詳細な情報を収集することができると考えている。 数値モデルについては、2023年度に実施した室内分解実験により得られた結果を基に、形態別の有機物動態(特に分解過程)をより精確に再現するように、低次生態系モデルの式形やパラメータの検討を行う。また、海域COD濃度のモデル再現精度の向上に向けて、陸域や外洋域に由来する有機物についても詳細に考慮した流動水質シミュレーションを行う。
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