研究課題/領域番号 |
23K04106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
西田 哲也 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40315627)
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研究分担者 |
菅野 秀人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20336449)
藤井 賢志 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (20397029)
櫻井 真人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (60710184)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 中高層RC造共同住宅 / 制震構造 / 間柱型ダンパー / 瞬間入力エネルギー / Critical PMI 解析 / 複数回地震動 / 地震応答推定 / 鉄筋コンクリート造 / 損傷評価 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はレジリエンスの観点から中高層鉄筋コンクリート造共同住宅にまで制震構造を拡大することを目的としている。レジリエンス性能の向上には大地震後の継続使用を可能とすることが重要であり,そのためにはダンパーにより損傷を制御した設計が必要となる。そこで,本研究では中高層共同住宅の設計においても無理なく使用できる簡易な地震応答推定手法を構築する。本手法は,RC造架構の安全性評価に用いる最大応答の推定,および損傷を評価するための累積応答の推定が,複数回の地震動を受けた場合にも可能となることを特徴としている。この推定手法の構築により,真にレジリエンス性能の向上を指向した合理的な制震構造の設計が可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究では中高層共同住宅の設計においても無理なく使用できる簡易な地震応答推定手法の構築を具体的な目的とする。本手法は,既往の応答推定手法とは異なり,RC造架構の安全性評価に用いる最大応答の推定のほかに,損傷を評価するための累積応答を推定できること,さらに複数回の地震動を受けた場合の推定も行えることを特徴としている。 R05年度は,主に以下の2つについて検討を進めた。 (1)R06年度実施予定の実験も見据えて,一般的に数が多いと考えられる板状型の10層中高層RC造共同住宅を対象とし,そこに間柱型ダンパーを設置した架構を試設計した。その架構モデルに対して地震動を入力した弾塑性時刻歴応答解析を実施し,間柱型ダンパーの効果や単一と複数回地震動の影響を確認した。 (2)これまで進めてきた瞬間入力エネルギーによる最大変位の推定法の検討について,1次モードで縮約した等価1自由度系に関する最大瞬間入力エネルギーの速度換算値と最大等価変位の関係および1次モードの有効周期と最大等価変位の関係の評価において,新たにCritical Pseudo-Multi Impulse 解析を使用することを試みた。その結果,さらに検討は必要であるが,現状で過去の解析結果との良好な対応関係を示し,本解析法の有効性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験対象とする間柱型ダンパーを設置した板状型10層中高層RC造共同住宅架構の試設計はできたが,実験用の試験体の計画までには至らなかった。また,応答推定法の検討については,新たにCritical Pseudo-Multi Impulse 解析の導入を試みて良好な結果が得られたものの,当初の予定であった複数回地震動入力時の応答評価までには至らなかった。 以上を勘案し,当初の計画に対してやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
R05年度に試設計した間柱型ダンパーを設置した板状型10層中高層RC造共同住宅架構を対象とした実験計画を立案し,R06年度は複数のシナリオを設定した2つの地震動を連続入力するオンライン実験を実施する。そこで得られた結果から最大応答・累積応答と部材毎の損傷程度,さらに過去の損傷がダンパーの制震効果に与える影響を明らかにする。 また,Critical Pseudo-Multi Impulse 解析を適用した瞬間入力エネルギーによる応答推定法の検討を進め,複数回地震動入力時の応答評価までに結びつける。 これまでの検討では,鋼材ダンパーが接続する間柱や主架構の梁は健全(弾性)であることを前提としており,複数回の地震で間柱や梁が損傷すると鋼材ダンパーの制震効果が低減することが懸念される。間柱や梁が損傷した状態でのダンパーの制震効果については実験的な検証が必要であり,最終的には実験で得られた結果を推定手法にフィードバックし,さらに精度の高い架構全体の最大応答変位と累積吸収エネルギーの推定法を目指す。
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