研究課題/領域番号 |
23K04109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 比呂子 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (60401527)
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研究分担者 |
金田 一広 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (30314040)
吉田 洋之 東電設計株式会社(新領域研究開発推進室), 新領域研究開発推進室, 課長 (40939807)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 地盤のばらつき / 基礎の支持力 / 信頼性設計 / 基礎構造 / 地盤定数 / 空間分布 / 耐力係数 |
研究開始時の研究の概要 |
2019年に改定された日本建築学会の「建築基礎構造設計指針」においては、限界状態設計法の概念を示されてはいるものの、従来の安全率を準用する程度に留まっており、どの程度の信頼性を有しているのかは不明である。本研究では、地盤のばらつきを考慮してモンテカルロシミュレーションを行うことで、現在の建築分野の基礎構造の鉛直支持力の設計において、どの程度の安全の余裕度が確保されているのかを明確にする。さらに、ばらつきを考慮した耐力係数の設定のフローを示すことで、信頼性設計確立のための有用な知見を収集するものである。
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研究実績の概要 |
敷地内で複数の地盤調査結果が得られている地盤を対象として,限界状態設計法の考え方に基づき耐力係数を算定し,次のことを示した.場所打ちコンクリート杭の鉛直支持力に関して算定した耐力係数は,周面抵抗力では,常時で1/3,地震時で2/3を下回る値となった.一方,先端支持力では,常時では1/3を上回り,地震時では2/3と近い値となった.これは,検討における杭で,ばらつきの大きい周面抵抗力の寄与度が大きいためと判断される.埋込み杭の鉛直支持力の耐力係数は,常時で1/3,地震時で2/3を概ね上まわった.すなわち,現行の杭の支持力の評価では,埋込み杭の安全余裕度を大きく見積もっていることが確認できる.耐力係数は,地盤のばらつきが大きくなるほど,小さくなる.地盤のばらつきが耐力係数に与える影響は,周面抵抗力度より先端支持力度で顕著となる.これは,周面抵抗力度では,算定式のばらつきが大きく,地盤のばらつきの影響が相対的に小さくなるためである.敷地内で地盤定数に変化のある地盤では,均一な地盤として統計値を算出することは不適であり,空間分布を考慮することで合理的な設計につながると考えられる. さらに,地盤のばらつきを考慮した設計の検討にあたり,既往の文献の調査を行うとともに,鉛直載荷試験結果をターゲットとして地盤のばらつきが先端支持力に与える影響を検討し,次のことを示した.支持層の質量密度,せん断弾性係数,体積弾性係数,内部摩擦角のばらつきを考慮して静的載荷解析を行った結果,杭先端支持力に与える影響が最も大きい変数は内部摩擦角であることを確認した.また,建築基礎構造設計指針に準じて算定した値とモンテカルロシミレーションの結果を比較したところ,モンテカルロシミレーションの方が極限先端支持力を大きく評価する傾向にあり,現行指針の保守性が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査,および,現行の指針に示される支持力とばらつきを考慮した支持力の比較等を行った.概ね予定通り進展している.
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今後の研究の推進方策 |
全体的には概ね予定通り進捗しているが,直接基礎の支持力の検討は,杭基礎の支持力の検討と比較すると,やや進捗が遅れている.直接基礎の支持力算定において,自己相関距離を考慮して地盤パラメータを設定することを試みているが,設定した分布と異なる結果となり,まだ調整が必要である.2024年度は重点的に取り組むこととする.
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