研究課題/領域番号 |
23K04119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷 昌典 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50533973)
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研究分担者 |
山田 諒 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1) (50993862)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 鋼繊維補強コンクリート / 寸法効果 / モーションキャプチャ / デジタル画像相関法 / 光ファイバセンサ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,鋼繊維補強コンクリート(SFRC)を用いたせん断破壊型部材における寸法効果の影響を,デジタル画像相関法を用いた高精度ひずみ計測,光学式モーションキャプチャシステムを用いた多点高密計測,光ファイバセンサを用いた連続的なひずみ計測といった計測技術を用いて検証する。具体的には,試験体縮尺を実験変数とした短スパン梁試験体の構造実験を行い,前述の計測によりせん断破壊時の変形状態を詳細に分析する。これに基づき,試験体縮尺が破壊メカニズムや構造性能に及ぼす影響を評価することで,SFRCを用いた建築物の構造設計手法の精度改善を目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,鉄筋コンクリート(RC)造耐震壁の壁板を模擬したディープビーム試験体2体および壁板要素試験体4体を対象に載荷実験を実施した。 前者は,過去に研究代表者らが実施したRC造耐震壁の壁板を模擬した鉄筋量を変数とするディープビーム試験体に対して,逆対称曲げ形式で載荷してせん断破壊までの破壊性状を検証した実験である。本課題では光ファイバセンサで鉄筋ひずみを高精細に計測し,せん断破壊するRC部材における鉄筋の変形性状や負担応力を詳細に把握するとともに,本課題で今後実施する壁板要素実験への計測方法の適用性を確認した。 後者は,鉄筋比とコンクリートへの鋼繊維混入の有無を変数とした壁板要素試験体にせん断力を作用させた載荷実験で,これらの変数がRC部材のせん断性状に及ぼす影響を把握しようとするものである。本実験では,光学式モーションキャプチャシステムを用いた試験体各部の詳細な変位計測に加えて,デジタル画像相関法および直接画像解析を用いて,コンクリート表面でのひび割れの位置や幅の検出を行い,目視による計測結果と比較することで計測精度の妥当性を検証した。なお,本実験により,コンクリートに鋼繊維を混入することで,ひび割れ本数やひび割れ長さの低減が見られたものの,繰り返し載荷によるひび割れの開閉により,鋼繊維がひび割れ周辺のコンクリートを剥離・剥落させて損傷が進展する課題を示した。なお,本実験のために新たに設計した載荷装置が想定通りに動作することも確認した。 これらの検討結果を踏まえて,令和6年度に実施予定の壁板要素試験体の実験変数について検討を行い,試験体の設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題を開始した当初はRC造梁部材試験体を対象に実験を実施する予定であったが,RC部材のせん断性状を詳細に把握する上で試験体を単純化することが適切であるとの判断に至り,RC造耐震壁の壁板を模擬した試験体での実験に変更した。その上で,ディープビーム試験体および壁板要素試験体に対する載荷実験を実施し,せん断性状が支配的な部材の損傷性状に関する基本的なデータを得るとともに,新たに設計した載荷装置や光ファイバセンサ,モーションキャプチャシステム,デジタル画像相関法,直接画像計測といった計測手法の妥当性を確認することができた。以上より,本年度は本課題の初年度として十分な進捗が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,本課題の研究目的の一つである,寸法効果が鋼繊維コンクリートを用いた部材のせん断破壊性状に及ぼす影響の検証を行う。具体的には,令和5年度に実施した壁板要素試験体の実験変数に試験体寸法(板厚)を追加するとともに,光ファイバセンサ計測を用いて鉄筋ひずみの高精細計測を行い,モーションキャプチャシステム,デジタル画像相関法および直接画像解析を併用することで,せん断性状が支配的な部材の損傷性状の分析をより詳細に進める予定である。
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