研究課題/領域番号 |
23K04123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
工藤 瑠美 日本工業大学, 建築学部, 准教授 (50599131)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | よごし試験 / よごれ / 粗さ / 実在建築物床 / 実地歩行実験 / 歩行 / 摩耗 |
研究開始時の研究の概要 |
防滑性や防汚性を高めるために、床表面には様々な加工が施されているが、歩行などの摩耗の影響で、すべりやすくなったり、よごれやすくなったり、変化するものが多い。したがって、供用開始後の安全性や快適性を確保するためには、歩行などの摩耗によるすべりやよごれの変化を事前に予測する方法を確立する必要がある。そこで、本研究では、申請者が開発した摩耗による床のすべりの変化を再現する“摩耗促進試験機の試験方法”を改良し、使用頻度の高い無機質系床材のよごれの評価方法を確立することで、摩耗によるすべりとよごれの変化を同時に評価する方法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、摩耗促進試験機を活用することで、実地歩行実験で得られたよごれの変化を短時間で再現する方法を提案する。さらに、実在建築物床への適用性を検討し、よごれからみた耐用期間の推定のための知見を集積することを目的とする。対象は、一般的な履物を履いた状態での歩行などの人間の日常的な動作により発生するよごれとする。 初めに、実地歩行実験で得られたよごし試料の色差と粗さの変化を再現することを目的に、よごし試験方法について検討した。検討の過程で、川口らが設定した珪砂式摩耗試験を参考に、具体的には、珪砂やよごし物質の散布量などの条件をもとによごし試験方法を検討した。 さらに、実在建築物床への試験方法の適応性を検討した。選定した床は、施工1999年12月本学の1号館正面玄関床の御影石(床表面:凹凸有,床表面色:グレー,大きさ:300×300㎜)とした。調査対象床の通行者数と床の色差と粗さを測定結果から、通行者数と色差と粗さの関係を把握した。粗さにおいては、通行者数が多いほど、摩耗により表面の粗さが減少し、色差においては、通行者数が多いほど、大きくなる傾向にあることが確認できた。 選定した正面玄関床の御影石の未使用試料(150×150㎜)を用いて、設定したよごし試験を実施し、適用性を検討した。色差と粗さは、設定した条件で、よごし試験5回ごとに測定した。実在建築物床とよごし試験の色差と粗さの測定結果から設定したよごし試験において、多少ばらつきはあるものの色差、粗さともに実在建築物床とほぼ同様の変化を再現することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実地歩行実験のデータをもとに、よごし試験方法を改良し、その方法を用いて実在建築物床のよごれ再現性を検討した。結果として、多少ばらつきは見られましたが、実在建築物床の試料表面の粗さとよごれを再現できることが確認できた。 今後は、さらに実在建築物床の調査を進め、様々な種類の床仕上材料の床表面の粗さと色差を測定し、通行者数との関係を明らかにする。そして、設定したよごし試験方法がどの程度適用可能かを綿密に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
これまで御影石などの無機質系床材を対象に検討を進めてきたため、無機質系床材以外の床仕上材料に対応できるように検討をすすめる予定である。現時点では、塩化ビニルシートとタイルを対象に実施した実地歩行実験結果とタイルカーペットの実在建築物床の調査結果があるため、今後はこの2種の床仕上材料を用いて、よごし試験方法の適応性の検討する予定である。 多種多様な床仕上材料を対象としたよごし試験方法が設定できることで、より効果的な床仕上げ材料の選定や管理に役立つ知見を得ることができることを期待している。
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