研究課題/領域番号 |
23K04131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
山田 明 広島工業大学, 工学部, 准教授 (40708103)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 伝統構法木造軸組 / 土壁 / 多数回載荷 / 耐力低下 / 修復効果 / 塑性域 / 剛性付加 / 伝統構法軸組 / 繰り返し地震動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、既往の耐震設計の想定を超える頻度で発生する地震に対する伝統構法土壁の劣化特性を、これまでの研究事例を大きく超える多数回の一定振幅水平載荷試験により明らかにする。 この実験では被害レベルや経験変形量と損傷の関係が明瞭であることにアイデアを得て、上記の載荷試験後の土壁を修復して再度載荷試験を行い、修復効果を明らかにする。これらにより、文化財等の長期間使用される木造建築物の維持管理に関する知見が得られる。 さらに、土壁の特徴である塑性域での粘りに着目した耐震補強法を実験的に確認する。耐震補強法には、設計・施工が容易なデバイスを念頭に、端部ボルト孔に遊びを持たせた鉄筋ブレースを用いる。
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研究実績の概要 |
昨今、大・中の地震が立て続けに発生する事例があり、建築物は現行の耐震設計の想定を超える回数の地震動を受けた、あるいは受ける可能性があると言える。一般に、木造軸組の繰り返し載荷試験では、壁倍率の評価方法に準じ、同一変形レベルの繰り返し数を3回とすることが多い。しかし、連続的な地震を考えると、多数回の繰り返し載荷による影響を考慮する必要があると考えられる。 木造住宅を含む既存建築物の中には、文化的価値を有するもの(いわゆる文化財)が数多くある。それらの築年数は数十年を超え、中には数百年に至るものもある。建築後に地震を経験しているものもあり、損傷したときには補修・修復が施され、継続使用される場合もある。この場合の構造検討に用いられる荷重変形関係には、地震経験による劣化・修復の影響がない、いわゆる“新品の”試験体の実験結果に基づいていることが多い。しかし本来は、地震による損傷を考慮した剛性・耐力の劣化、修復効果を考慮すべきと考えられる。 そのような背景のもと、本研究では、①既往の耐震設計の想定を超える頻度で発生する地震に対する伝統構法土壁の劣化特性を、これまでの研究事例を大きく超える多数回の一定振幅水平載荷試験により明らかにする。①の実験では被害レベルや経験変形量と損傷の関係が明瞭であることにアイデアを得て、上記の載荷試験後、②土壁を修復して再度載荷試験を行い、修復効果を明らかにする。これらにより、文化財等の長期間使用される木造建築物の維持管理に関する知見が得られる。 さらに、③土壁の特徴である塑性域での粘りに着目した耐震補強法を実験的に確認する。耐震補強法には、設計・施工が容易なデバイスを念頭に、端部ボルト孔に遊びを持たせた鉄筋ブレースを用いる。 研究1年目の2023年度には、当初の予定である①および③の一部を実施し、予定通りに研究は進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①については、一間幅の土壁の一定振幅多数回繰り返し載荷実験を実施し、耐力低下率を明らかにした。本研究に先立って実施済みでる半間幅の土壁、および半間幅・一間幅の小壁の結果と合わせることで、土壁の劣化特性を全般的に明らかにした。試験体は一間幅の土壁4体であり、それぞれに1/120・1/60・1/30・1/15radの一定振幅の多数回加力を実施した。 ③については、半間幅の土壁に補強用鉄筋ブレースを並列させ、土壁本体の降伏後に鉄筋ブレースの剛性に期待した補強が実現可能であるかについて検討した。試験体は半間幅の土壁2体であり、うち各1体には補強ブレースを設けた。正負交番繰り返し載荷試験による2体の試験体の復元力特性を比較することで、剛性付加効果を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目の2024年度には、当初の予定である②および③の残りを実施する。 ②については、①の実験に使用した4体の試験体を損傷状況に応じて修復し、正負交番繰り返し載荷試験を実施する。加力スケジュールは4体で同一とする。これにより、修復前の損傷状況(最大経験変形および累積変形)と修復方法の違いによる剛性・耐力の補修効果が定量的に明らかになる。 ③については、2023年度に実施した半間幅の実験を一間幅に拡張し、土壁に補強用鉄筋ブレースを並列させ、土壁本体の降伏後に鉄筋ブレースの剛性に期待した補強が実現可能であるかについて検討する。試験体は一間幅の土壁2体であり、うち各1体には端部ルーズホール付きの補強ブレースを設ける。正負交番繰り返し載荷試験による2体の試験体の復元力特性を比較することで、剛性付加効果を検証する。
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