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避難所利用のための体育館における放射空調システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K04142
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分23020:建築環境および建築設備関連
研究機関佐賀大学

研究代表者

小島 昌一  佐賀大学, 理工学部, 教授 (90305029)

研究分担者 中大窪 千晶  佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30515143)
林田 行雄  佐賀大学, 理工学部, 客員研究員 (90125162)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワード放射冷暖房 / 体育館 / 避難所利用 / 間仕切り素材 / 放射対流併用空調
研究開始時の研究の概要

本研究は、災害時の避難所として体育館の熱的快適性を向上させるため、放射対流併用空調の最適運用方法を3年間で検討する。
1年目は放射冷暖房の効果・快適性を調査し、省エネと快適性が両立する運転方法を探求。2年目は避難所間仕切りの最適素材を実験により検討し、放射冷暖房が効果的に機能する間仕切り材を提案。3年目は間仕切り設置時の放射対流併用空調の最適仕様を実験・計算により調査、対流式冷暖房の併用も検討。
研究の成果は、日本建築学会および空気調和・衛生工学会等で発表する予定である。
本研究の成果は大規模施設の熱環境改善にも応用可能で、省エネルギーや快適性の向上への寄与が期待できる。

研究実績の概要

令和5年度の研究は、放射冷暖房パネルを使用して、特に体育館のような大空間での省エネルギーと熱的快適性向上を目指しました。主な研究目的は、体育館での冬季の垂直方向の温度勾配を最小化し、開口部近くの熱的快適性を確保することでした。この目的を達成するため、放射冷暖房パネルの最適な設置位置を特定し、実際の体育館で放熱量、放熱時間、放熱部位の運転条件を変更しながら数値解析と実測調査を行いました。
研究成果1では、放射空調が導入された体育館で温熱環境の実測調査を実施し、EnergyPlusを使用した数値解析により、仮設間仕切りの材質が放射冷暖房効果に及ぼす影響を詳細に調べました。特に、災害救助用の毛布と段ボールの断熱性の違いが熱環境に与える影響が顕著であり、段ボールの間仕切りが放射を遮る効果も検証されました。
研究成果2では、体育館以外の場所ではありますが放射空調システムが導入された大学の講義室において、放射空調システムの連続運転と間欠運転の快適性を比較しました。アンケート調査と熱環境調査の結果、連続運転が間欠運転よりも快適であることが明らかになり、特に暖房時に温度的に中立的な環境が実現可能であることが示されました。しかし、既存の空調システムとの組み合わせで未想定の制御問題が確認されたため、新たな制御項目の追加が必要とされました。
これらの成果は、日本建築学会および空気調和・衛生工学会での発表を通じて、放射冷暖房システムの運用における新たな知見として共有されました。今後、この研究を基に、放射冷暖房システムの更なる最適化と、熱的快適性及びエネルギー消費量の削済みを目指した実用的な運用方法の開発が期待されます。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、放射冷暖房パネルを使用して大規模なスペース、特に体育館における省エネルギーと熱的快適性の向上を目指しています。研究の主な目的は、冬季に体育館内の垂直方向の温度勾配を最小化し、開口部近くの快適性を確保することです。放射冷暖房パネルの最適な配置と運転条件の特定を通じて、これを実現するための具体的な方法論を開発しています。
研究は数値解析と実測調査の両方を組み合わせて進行しており、特にEnergyPlusを使用した詳細なシミュレーションが行われています。これにより、放射冷暖房の影響を受けやすい仮設間仕切りの材質が温熱環境に与える影響を評価し、災害救助時の毛布や段ボールの断熱性が温熱環境に及ぼす影響を明らかにしました。この結果は、熱的快適性と省エネルギーを同時に達成するための実用的なソリューションを提供します。
また、研究成果の一環として、体育館だけでなく、大学の講義室での放射空調システムの運用に関しても評価を行っています。(放射冷暖房システムが導入された体育館において大勢の在室者に対して熱的快適性に関するアンケート調査を実施するのは現実的には難しいので、その代替手段ではあります。)ここでは、連続運転と間欠運転の快適性を比較し、連続運転の方が間欠運転に比べて快適であることを確認しましたが、既存の空調システムとの組み合わせにおける制御の問題点も浮き彫りになりました。
これらの研究成果は、日本建築学会および空気調和・衛生工学会で発表され、研究コミュニティからの注目を集めています。今後、得られた知見を基に、さらなる研究と放射冷暖房システムの最適化、熱的快適性とエネルギー消費量の削減に向けた実用的な運用方法の開発が進められる予定です。この研究は、熱環境工学の分野における新たなアプローチとして、今後の建築設計に重要な影響を与えることが期待されています。

今後の研究の推進方策

今後は、放射冷暖房システムの更なる最適化を目指します。2年目は、特に避難所として利用される体育館での仮設間仕切りの材質が放射冷暖房に与える影響を詳細に検証することを予定しています。ダンボールと布素材の間仕切りを対象に、それぞれの熱放射への反射、吸収、放熱特性を評価し、最も効果的な間仕切り材料を特定します。実験は佐賀大学の実験準備室で行い、実測データを基に最適な材料と配置を提案することが目標です。
3年目は、放射冷暖房と対流冷暖房を組み合わせたシステムの最適化に焦点を当てます。この段階では、放射と対流の熱量配分を調整し、各機器の配置と効率を最適化するための実験と数値シミュレーションを実施します。具体的には、放射パネルの効果を最大限に活用しつつ、必要に応じて対流式冷暖房を利用して間仕切り各空間に均一な温度分布を実現するための戦略を開発します。このプロセスでEnergyPlusやTRNSYS18といったシミュレーションツールを活用し、室温変動とシステムの全体的な性能評価を行います。
今後2年間の研究を通じて、放射冷暖房システムの設計指針を確立し、実際の災害時避難所としての応用や、日常的なビル管理における省エネルギーと快適性の両立を目指します。得られた成果は、日本建築学会および空気調和・衛生工学会で発表し、広く研究成果を共有する予定です。これにより、実験的検証と理論的研究が連携して、放射冷暖房技術の実用化と普及に貢献することを目指します。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] The Comparison of Intermittent and Continuous Air Conditioning for Optimal Operation of Convection Integrated Direct Expansion Radiative HVAC Systems2024

    • 著者名/発表者名
      Wataru Ando, Shoichi Kojima, Kazuaki Nakaohkubo
    • 雑誌名

      Journal of Asian Institute of Low Carbon Design

      巻: 1 ページ: 159-164

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 避難所利用時の体育館における仮設間仕切りが放射空調時の温熱環境の形成に及ぼす影響に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      安藤航、小島昌一
    • 雑誌名

      日本建築学会技術報告集

      巻: 29 号: 73 ページ: 1401-1406

    • DOI

      10.3130/aijt.29.1401

    • ISSN
      1341-9463, 1881-8188
    • 年月日
      2023-10-20
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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