研究課題/領域番号 |
23K04152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
宇野 朋子 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (90415620)
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研究分担者 |
伊庭 千恵美 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10462342)
福井 一真 神戸大学, 工学研究科, 助教 (00908767)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 凝灰岩 / 水分特性 / 材料物性 / 力学特性 / 劣化 / 予測モデル / 熱水分 / 応力 / 劣化メカニズム / 石材 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、歴史的建造物の外装材として使われる凝灰岩を対象として、凝灰岩の劣化の要因とメカニズムを、石材周辺の微環境と石材の熱水分応力特性を考慮した熱水分応力解析により明らかにすることを目的とする。 研究では、石材特性(熱水分特性、材料物性)と対象地の環境条件を考慮して熱水分移動解析を行い、微環境と石材内の温度・水分量との関係を把握する。また、石材内の温度・水分量の変化にともない生じる応力変化を予測する解析モデルを作成する。対象地での劣化石材の状況とモデルの予測結果を比較することでモデルの妥当性を検証し、最終的には異なる条件下での劣化の予測、保存修復方法の評価につなげる。
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研究実績の概要 |
本研究は、旧甲子園ホテルの外装材として用いられている凝灰岩(日華石・竜山石)を対象として、水分特性、材料特性、力学特性に着目し、石材内の熱水分状態の把握(熱水分移動解析)、応力解析により、劣化が起こるメカニズムを明らかにすることを目的としている。 初年度は、石材内の熱水分状態に対応した応力挙動の解析のための多孔質弾性材料に関するパラメーターを検討した。日華石・竜山石について材料物性(空隙率)と力学特性(弾性率とポアソン比)を確認し、既往研究で得られている空隙率、熱水分物性と合わせて、石材内の応力による影響を検討した。日華石は竜山石よりも空隙率が大きく、そのため空隙部を含めた材料全体に対する実質部の弾性係数の差が大きく、かつ、Biot係数が大きいといえる。このことから、乾湿の繰り返しや凍結によって空隙内の水分の圧力が変化する際には、日華石の方が竜山石に比べて大きな応力の影響を受けることが予想された。 材料物性のうち熱物性に関しては、凍結を考慮した石材内部の熱水分状態の把握に必要な物性として熱伝導率を実験と解析により検討した。直方体試料を用い、試料の一部で凍結が生じるよう上下方向に温度と水分勾配をつけ、内部の水分分布をガンマ線含水率測定装置により計測し、石材内に挿入した熱電対により温度分布を測定した。実験結果と数値解析結果の比較により、日華石の含水時および完全凍結時の熱伝導率を推定した。 そのほかの材料物性の収集と整理(水分特性、材料特性、力学特性)について、日華石と竜山石の岩石特性について、岩石の組成を確認した。また、国内外の凝灰岩に関する情報を収集した。また、竜山石について擬石の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、旧甲子園ホテルで使用される2種類の凝灰岩を中心に、①劣化の程度に応じた材料物性の収集と整理、②石材内の熱水分状態の把握(熱水分移動解析)、③熱水分状態と応力の挙動解析、④数値解析モデルの再現と保存対策の効果の検証のための実験 、⑤凝灰岩建築の保存修復の事例の分析を行う予定である。また、劣化状況を観察している箇所では継続的に状態変化のデータ収集を行う。以下に研究の進捗状況を示す。 ①劣化の程度に応じた材料物性の収集と整理:本年度は、2種類の凝灰岩についての材料物性(細孔径分布と空隙率)と力学特性(弾性率とポアソン比)を確認する とともに、公開されているデータ資料より凝灰岩の物性を収集した。 ②石材内の熱水分状態の把握(熱水分移動解析):日華石について凍結実験と熱水分移動解析により、含水・含氷状態に応じた熱伝導率を推定した。 ③熱水分状態と応力の挙動解析:応力解析において必要な空隙部を含めた材料全体に対する実質部の弾性係数、ならびに、Biot係数について検討した。 ④数値解析モデルの再現と保存対策の効果の検証のための実験:次年度引き続き検討を行う。 ⑤凝灰岩建築の保存修復の事例の分析:日華石およびそのほかの凝灰岩を使用した建物を視察し、保存状態を確認した。竜山石について、旧甲子園ホテルの欠損箇所の擬石による修復を検討した。竜山石の剥離の継続的な観察を続けている。記録方法については次年度引き続き検討する。
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今後の研究の推進方策 |
①劣化の程度に応じた材料物性の収集と整理:2種類の凝灰岩について、応力とひずみの関係などの力学特性データを取得する。 ②石材内の熱水分状態の把握(熱水分移動解析):日華石について実環境で起きている凍結劣化の要因について検討する。昨年度までに得られている熱水分に関係するデータを用いて熱水分移動解析を進める。特に、部分的に凍結が生じた場合の透水性への影響を詳細に検討する。既往研究において得られている気象データの分析も必要と考えている。 ③熱水分状態と応力の挙動解析:数値解析のための境界条件を検討し、空隙部を含めた材料全体に対する実質部の弾性係数、ならびに、Biot係数の検討結果を反映した、応力挙動の1次元の解析を進める。 ④数値解析モデルの再現と保存対策の効果の検証のための実験:③の数値モデルに対応した実験条件を検討する。石材の材料物性、水分特性への保存対策による影響、解析に必要となる修復材料の物性データについて検討する。 ⑤凝灰岩建築の保存修復の事例の分析:凝灰岩を外装材に 使用した建築物について、修復履歴に関する情報を収集する。竜山石について、欠損箇所の擬石による補修箇所の経年変化を観察する。劣化状況を観察している箇所では継続的に状態変化のデータ収集とともに、記録の方法を検討する。
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