研究課題/領域番号 |
23K04201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山田 悟史 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00551524)
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研究分担者 |
酒谷 粋将 関東学院大学, 建築・環境学部, 准教授 (20772148)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 画像生成AI / 自然言語生成AI / AIによる変化 / 思考 / デザイン / 市場 / AI / 共創 / コンテンツ生成AI / 創造性 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は「AIを創発のパートナーとする人とAIの共創」に挑戦するものです。この研究が知りたいことは「①:AIは何をどのようにデザインできるのか」,「②:AIの創造性(人間とは異なる個性)とは何であるのか。人間はAIから自身の「認知拡張という創発」を得られるのか」,「③:変化するこれからの人間とAIの「創造性・創造の楽しさ」とは何であるのか」の三つです。 広い意味では「AIは人とどのように異なるのか,つまり相対的に人とは何であるのか,人はAIをパートナーとすることができるのか」という難しい問いに挑んでいます。
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研究実績の概要 |
本年度は下記の4点の内容に取り組んだ。①自然言語を発話する生成AIとの対話による人の思考の変化。②画像を描く生成AIとの対話による人のデザインプロセスの類型化。③画像を描く生成AIとの対話による人の3次元的なデザインの変化。④デザインにおける生成AIの利用が市場に与える影響。 ①においては、生成AIとの対話を行う場合と行わない場合のレポート内容を比較した。比較手法は形態素に分解した語彙数と出現頻度の推移である。対話を行うことで語彙数が減少し、特定の単語の出現頻度が高くなる傾向が見られた。また、対話により消失した出現頻度の低い単語も、意味が希薄な単語でないことを把握した。 ②においては、照明を題材にしたデザイン実験を行い、5回の対話を通じてデザインプロセスの類型を把握した。これにはスケッチ描写、生成画像の閲覧、意味解釈を複数回繰り返す実験が含まれ、意味解釈に関する単語データを得た。 ③においては、ランドスケープデザインをテーマに公園に樹木を配置するデザイン実験を行い、生成AIと対話する場合としない場合を比較した。敷地全体の緑視率には変化が極めて小さい形態となった。一方、配置形態に差異が生じる可能性も確認された。 ④においては、建築を専門とする大学生と実務者を対象に、生成AIを用いたことによる購買意欲と価格の変化に関するアンケートを行った。購買意欲は向上するが、価格の支払い意向額は下がることが結果として得られた。また、この低下傾向は購入対象に対する自己の理解度が低いと自覚する場合に強まることも把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況はおおむね順調である。予定していた①と④についてはヒアリング結果を得ることができたが、定量的な検証がまだ精査中であるため、査読付き論文への投稿には至っていない。この点は課題である。一方で、要点は日本建築学会の会報誌「建築雑誌」の特集「AIの衝撃:期待と葛藤を抱えて進む」において広く公表することができた。また、拝命した編集員としての役割を通じて、学会にAIと人の共創に関する示唆を提示することができた。予定していた②については、実験データを得ることができたが、実験結果の概観からデザインプロセスが四類型に分けられることを把握したものの、こちらも定量的な検証方法を精査している段階であり、まだ査読付き論文への投稿には至っていない点が課題である。③は当初予定していなかった内容であるが、緑視率を専門とする研究者および建築設計を専門とする海外の実務者と連携し、当初の予定を拡充する内容にも着手することができた。この部分については、デザイン実験をほぼ終え、緑視率期待値の分析方法の構築まで完了し、傾向の概観を把握した段階である。こちらについては未発表であり、配置形態の定量分析についても方法を精査中である。
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今後の研究の推進方策 |
①と④については学術論文誌に投稿するべく内容および投稿先を精査している段階である。投稿を迅速化するため、内容に関しては補助員の利用、原稿作成に関しては英文校閲業者の利用を検討している。②については助成金受給者と共同研究者の間で生じた状況の変化が連携の滞りの原因の一つと考えられる。連携方法の見直しを通じて投稿に繋げたい。新たに着手した③については、緑視率を専門とする研究者との円滑な連携を継続し、海外の実務者との連携方法を改善して進捗を早めたい。
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