研究課題/領域番号 |
23K04207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
梅干野 成央 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (70377646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 大工 / 近代化 / 擬洋風建築 / 建築史 / 技術者 / 立石清重 |
研究開始時の研究の概要 |
近代化の初期の過程において最新の洋風建築の情報を収集した「大工」は、擬洋風建築と呼ばれる建築を生み出した。擬洋風建築がつくられた時代、中央では「大工」が技術者へと転じ、地方においても「大工」が擬洋風建築の展開とあわせて建築の近代化を牽引した。本研究は、地方で擬洋風建築を手掛けた「大工」の代表的な人物である立石清重に着目して、資料をもとに建設体制における立石の立場を把握し、建築活動の具体像を明らかにするものである。この成果によって、近代的な建設体制における「大工」の建築活動を立体的に把握することができ、近代建築史における「大工」の解釈に新たな観点を提示することができる。
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研究実績の概要 |
本研究は、地方で擬洋風建築を手掛けた「大工」の代表的な人物である、国宝の旧開智学校校舎をたてた立石清重に着目し、資料をもとに立石が関わった施設の建設体制と、その建設体制における立石の立場を把握し、建築活動の具体像を明らかにするものである。具体的には、立石清重関係資料を整理・解読し、これと地域、県、国といった様々な建設主体にのこる資料とを照らし合わせ、立石の建築活動の具体像を明らかにする。その際、とくに国や県の技術者との関係、さらには他の大工との関係に注目し、各建設体制における立石の立場を明示する。 令和5年度には、立石清重関係資料の整理を行うとともに、建設体制を把握する対象とする施設の絞り込みを行った。これによって、次年度以降に進める研究の前提を構築することができた。対象とする施設に対する理解を深めるため、現存するものについては実地調査(建物の写真撮影や実測調査)を行った。全ての対象について実地調査を行うことができなかったため、今後も継続して進める予定である。 また、立石清重関係資料を精査するなかで発見した年始状宛名控について、内容を把握するとともに、ここに記録されていた人物を特定する作業を通じ、史料の性格を考察した。この史料は明治20年代前半に作成されたもので、ここに記録されている人物は、立石の当時の重要な仕事相手であったと推定される。行政関係や学校関係の職員が多くをしめ、国や県の技術者など、さまざまな立場の人物を含んでいた。今後、他の史料と照らし合わせることで、こうした仕事相手との関係性を具体的に把握することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り調査研究を進めることができており、令和5年度に予定していた内容はおおむね完了した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には、地域資料・県行政文書・各省庁行政文書の資料調査を行い、立石清重関係資料との照らし合わせによって、令和5年度に絞り込んだ対象(施設)の建設体制を具体的に把握する。その後には、この作業を継続するとともに、これらの建設体制における立石の立場を明示する。これをふまえ、把握した全ての建築活動を重ねて立体的に解釈するとともに、これを通時的に捉え「大工」の近代化を論じる。 以上の内容については、成果がまとまり次第、研究論文として公表する予定である。
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