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クリスタル・パレスのリバースエンジニアリング|構法史における工学的分析手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K04209
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分23040:建築史および意匠関連
研究機関京都大学

研究代表者

小見山 陽介  京都大学, 工学研究科, 講師 (40815833)

研究分担者 木村 俊明  名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (60816057)
木村 智  立命館大学, 理工学部, 講師 (60846806)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードクリスタル・パレス / リバースエンジニアリング / 構法史
研究開始時の研究の概要

本研究が提唱する建築構法史学的な「リバースエンジニアリング」は、文献や遺構の調査が主であったこれまでの史学的アプローチに対し、構造解析やモックアップ製作を取り入れた設計的アプローチである。文献資料の情報に基づいて製作した3次元モデルを構造シミュレーションしその解析結果を考察する、一部分を実際に製作しその物的性質を確かめるなど、既存の情報を組み合わせて新しい情報をつくりだす点に特徴がある。この手法により、クリスタル・パレス建設における材料選定・工法選定において、当時の設計者がどのような意図でその選択をおこなったのかを建築構法史的観点から検証することが本研究の目的である。

研究実績の概要

鉄とガラスという近代建築材料を大々的に使用し、後世の建築家たちの空間デザインに大きな影響を与えたクリスタル・パレスは、その建設過程においても先進的で合理的なアプローチがとられたと一般的には信じられている。しかしその設計・建設においては、多くの非合理的とも思える選択もまたなされた。またそれは、クリスタル・パレスと同時代に建てられた他の類似建築とを比較することによってより明確に指摘することができる。このようにクリスタル・パレス建設における材料選定・工法選定において、「合理的」な説明がつきづらい部分、あるいは当時の記述では自明のことあるいは明快な理由があることと説明されているもののその「合理性」が現代の目から見ると疑義を挟む余地があるような部分について、当時の設計者がどのような意図でその選択をおこなったのかを建築構法史的観点から検証することが本研究の目的である。
本研究で挙げる検討課題のひとつは、複数の建築材料が使い分けられた「梁」部材等における材料選択意図とその妥当性の検証である。例えば、鋳鉄・錬鉄・木材の3種類の材料が使い分けられていた大梁においては、研究代表者のこれまでの研究から、材料使用効率を高めるために3次元的に変化する断面が採用された主要な大梁では鋳鉄が、スパン長が長い箇所では錬鉄の組み立てトラスが、荷重負担が小さい箇所では木製の大梁が、それぞれ採用されたことがわかっている。しかし、設計者は果たして、建物構造全体の応力状態を正しく把握した上で部材の選定をしていたのだろうか。今年度は、断片的に残る当時の構造設計的視点からの記述の分析結果と、構造モデル化したクリスタル・パレスの構造シミュレーション結果とを照らし合わせることで、両者の間にズレがあるズレと、それが示唆するものを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って研究を進めることができ、その成果の一部は査読付き論文としてまとめることができた。

今後の研究の推進方策

本研究で挙げる検討課題のひとつである、材料が鉄であるにも関わらず木造あるいは石造由来の接合方法が転用された柱梁接合部等における工法選択意図とその妥当性の検証を進めていく。例えば、クリスタル・パレスでは柱梁接合部に「込み栓」のような工法が使用された。これは同時期に同じ施工業者によって建設された駅舎では同じ柱梁部材を使用しているにも関わらず接合方法がボルト接合であることと一線を画している。鋳鉄または錬鉄によって組み上げられた同時代(19世紀)の類似建築物(大架構建築物)との実地調査と文献史料による比較分析と、その少し後の時代(20世紀初頭)の類似建築物との実地調査と文献史料による比較分析により、クリスタル・パレスで採用された工法と、同時代及び後の時代の類似建築物との連続性・非連続性を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 施工図面から読み解くクリスタル・パレスの木材使用箇所2024

    • 著者名/発表者名
      小見山陽介、木村俊明、木村智
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 第89巻

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ピエル・ルイジ・ネルヴィの帝国のアーチにおける古代ローマの建築解釈と構法的表現2024

    • 著者名/発表者名
      木村智、木村俊明、小見山陽介
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 第89巻

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rethinking geometry of grapevine structure proposed by Konrad Wachsman2023

    • 著者名/発表者名
      T. Inoue, T. Kimura, Y. Komiyama, S. Kimura
    • 雑誌名

      Proc. IASS Symposium 2023, Melbourne

      巻: ー ページ: 235-243

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 同時代出版物に描写されたクリスタル・パレスの特性とその伝搬2024

    • 著者名/発表者名
      小見山陽介、木村俊明、木村智
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] クリスタル・パレスのリバース・エンジニアリング -平行弦トラスと短手骨組の分析-2024

    • 著者名/発表者名
      岡本日向、木村俊明、小見山陽介、木村智
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ローマ万国博覧会の帝国のアーチにおけるリバース・エンジニアリング2024

    • 著者名/発表者名
      木村智、木村俊明、小見山陽介
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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