研究課題/領域番号 |
23K04221
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山根 周 関西学院大学, 建築学部, 教授 (40285242)
|
研究分担者 |
石榑 督和 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (10756810)
角野 幸博 関西学院大学, 建築学部, 教授 (90248120)
谷口 真紀 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (90778606)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | ウィリアム・メレル・ヴォーリズ / 近代建築史 / ミッションと建築 / デジタルアーカイブ / リビングヘリテージ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880-1964)の建築を対象として、ヴォーリズ建築資料のデジタルアーカイブ構築、および新たな視点と手法の導入によるヴォーリズ研究のさらなる進展を目的とする。 関西学院大学建築学部の「ヴォーリズ研究センター」を研究拠点とし、ヴォーリズ建築図面の網羅的調査とアーカイブ整備を実施するとともに、アメリカ近代建築史におけるヴォーリズ建築の史的位置づけや、ヴォーリズの思想と建築作品との関連などを明らかにする。またリビングヘリテージ、都市計画制度、市民活動等の観点からヴォーリズ建築の現代的意義の検証と再生、継承に関する検討をおこなう。
|
研究実績の概要 |
1年目となる23年度は、①ヴォーリズ建築に関する図面、文献資料の網羅的調査、デジタルデータ化と分類整理、アーカイブ化の検討、および②米国での資料収集、事例調査を中心とした研究計画を立てた。①については、近江八幡市に保管されている一粒社ヴォーリズ建築事務所所有の戦後期に設計された建築図面のデジタルカメラによる写真データについて、図面に記載されているJOB No.による整理を行うとともに、これまで整理を進めてきた戦前期の建築図面のデータとともにリスト化の作業を行い、アーカイブ化に向けた基礎的作業を進めた。②については、23年8月16日~24日に米国での調査を実施し、ヴォーリズが在籍したコロラド・スプリングのコロラド・カレッジ図書館において、ヴォーリズ関連資料を収集するとともに、スパニッシュ・ミッション・スタイルのキャンパスであるロサンゼルス郊外のポモナ・カレッジを訪問し、キャンパスプラン、学舎デザインについての調査を行うとともに、ポモナ・カレッジが所属するクレアモント・カレッジズの図書館で、キャンパス計画に関する資料収集を行った。また、スパニッシュ・ミッション・スタイルの原点となったカリフォルニア・ミッションのうち、サンタ・バーバラ、サン・ブエナベンチューラ、サンタクララにおいて、建築スタイル、空間構成等の調査をおこなった。並行して各分担者の研究テーマに即した分析考察を進め、それらは23年7月22日に関西学院大学建築学部ヴォーリズ研究センター(以下V研)が主催した「ヴォーリズ研究の地平」公開シンポジウムにおいて発表し幅広い議論を行うとともに、23年10月~24年3月にかけてV研内での研究会を継続し、各分担者のテーマに関する議論を深めた。24年3月にはV研の研究成果をまとめた研究紀要『ヴォーリズ研究』創刊号を発刊し、研究成果を広く公開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の具体的テーマとして、以下の6つを挙げている。 ①ヴォーリズ建築図面の網羅的調査とデジタルデータ化、およびそれに基づくデジタルアーカイブの整備。②図面資料に基づくヴォーリズ建築作品の意匠的、計画的、構造的特徴等の分析と考察。③米国におけるスパニッシュ・ミッション・スタイル等の系譜におけるヴォーリズ建築の建築史的位置づけの検討。④米国のキャンパス計画の系譜におけるヴォーリズのキャンパスデザインの建築史的位置づけの検討。⑤キリスト教信仰に根ざしたヴォーリズの思想、活動の内実の解明と、それらの建築作品への反映に関する考察。⑥ヴォーリズ建築の保存再生および現代建築への継承ならびに都市再生・地方創生への効果に関する検討。 その中で、1年目の23年度は図面、文献資料の網羅的調査、デジタルデータ化と分類整理、アーカイブ化の検討、および米国での資料収集、事例調査を中心的作業とすることを計画した。研究実績の概要で示したように、23年度は上記の計画内容をほぼ実施したほか、2年目以降に開始を計画していた上記テーマの②、③、④、⑤、⑥についても、シンポジウム、研究会、紀要論文等を通じて分析考察を進め、論文発表、シンポジウム開催、紀要の発行等でそれらの成果を公開するところまで進展できている。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目となる24年度は、アーカイブ整備については関西学院大学建築学部ヴォーリズ研究センター所蔵の文献資料についての目録作成および図面、マニュスクリプト等の資料データを含めた保管方法、分類方法、検索方法等についての検討をおこない、限定的な範囲でのアーカイブ構築を試験的に実施する。その際、関西学院大学博物館所蔵の関連資料の活用も視野に検討を進める。 また、各分担者のテーマについて、23年度に引き続き分析考察を深める。ヴォーリズ建築の特質に関するテーマについては、戦後建築に引き続き着目し住宅建築、学校建築等の分析考察を進める。米国におけるスパニッシュ・ミッション・スタイル等の系譜におけるヴォーリズ建築の位置付けに関しては、1900年代初頭のカリフォルニアを中心としたスパニッシュ・リバイバルの建築家との接点に関する調査分析を行う。米国のキャンパス計画の系譜におけるヴォーリズのキャンパスデザインの位置づけに関しては、ヴォーリズが計画した13のミッションスクールの図面の分析を行い、米国のキャンパス計画との関連性について考察する。ヴォーリズの思想、活動の探究に関しては、戦後のヴォーリズに焦点を当て、国内の資料収集を進めるとともに、ヴォーリズの国内での活動場所の軌跡をたどり、またマッカーサーとの関わりをめぐる点などについても明らかにする。ヴォーリズ建築の保存再生に関するテーマについては、残存建築リストの作成を進め、活用状況に関する調査を実施する。 それらの成果については、ヴォーリズ研究センター紀要『ヴォーリズ研究』を中心に公開を進めていく予定である。
|