研究課題/領域番号 |
23K04230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
勝身 俊之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (60601416)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 低毒性1液推進剤 / 可視化燃焼器 / 触媒式一液スラスタ / ヒドロキシルアミン硝酸塩 / ヒドロキシルアミン酸塩 |
研究開始時の研究の概要 |
劇毒物のヒドラジンに代わるグリーンプロペラントの研究が世界的に盛んであり,すでに日本国内でも高性能グリーンプロペラントを用いた反動制御システムの軌道上技術実証に成功している.一方,高い燃焼温度のために触媒が劣化することが知られており,耐熱性触媒などの熱対策が必要視されている.しかしながら,燃焼器内部の現象理解が進んでおらず,対策の最適化が困難である.そこで,本研究では,燃焼器内部を可視化することによって,グリーンプロペラントが燃焼した際の現象を明らかにし,燃焼器内部現象の物理モデルを構築する.これによって,燃焼器内部燃焼の数値的な検討や実用スラスタ設計の一助となることが期待できる.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,複雑な構造を持つ触媒式一液スラスタでグリーンプロペラントが燃焼した際の内部現象を明らかにすることを目的として,可視化スラスタを用いてスラスタ地上燃焼実験を実施する計画である.そのため,令和5年度は1液スラスタの内部現象の可視化を可能とするスラスタ燃焼器の設計,製作,およびそのスラスタを用いた予備燃焼実験を行った. 可視化スラスタは,インジェクタ部および外部からのヒータによる加熱が必要な触媒部を除き,インジェクタ-触媒間,触媒-ノズル間を石英ガラス製とし,推進剤の噴射および燃焼の状態を光学的に観察できる構造とした.製作範囲は石英ガラス部および触媒部のみとし,従来より1液スラスタ燃焼実験で使用していたインジェクタやノズルを取り付けられるように設計した.また,各部品の連結に耐熱シール材を用いることによって,ヒータによる長時間の加熱(上限370℃)を可能としている. 燃焼実験に先立ち,新調した可視化スラスタが正常に動作することを確認するため,予備的な各種実験(ヒータ加熱試験,気密・耐圧試験,ガス流し試験など)を実施した.その結果,設計通りに動作することが確認されたが,従来の1液スラスタ燃焼実験装置から触媒部の構造を変更したことによって触媒内部の温度分布が従来と異なることがわかった.従来装置で得られた結果との比較のため,それぞれの温度分布が一致するよう今後設計変更を計画している. また,予備実験の一環としてノズルを付けない開放状態で真空燃焼実験を実施した.実験では,真空チャンバ内に可視化スラスタを設置し,ヒータによる触媒予熱(250℃)の後,最大2秒間の推進剤供給を行い,問題なく燃焼実験が実施できることを確認した.また,石英ガラス部より推進剤の噴射や燃焼の様子が観察できることも確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、FY2023Q1~Q2に可視化スラスタの設計製作を完了する予定であったが、製造業者との打ち合わせ(特に耐熱シール材の選定および入手)に時間を要したため、可視化スラスタの製作完了がFY2023Q3末にずれ込んだ。そのため、当初予定していた条件を変更した燃焼実験(反応帯位置の調査)および物理モデル(第一案)の構築が未達成である。
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今後の研究の推進方策 |
今後,FY2023Q4~FY2025Q2以降で予定していた以下の1~5の取り組みを計画的に進める. (1)デジタル一眼レフカメラなどを用いて輝炎や有色ガスなどの存在を確認することによって定常時の反応帯位置を調査する.また,プロペラント流量やノズルスロート径(燃焼器内圧力)を変化させ,それらが反応帯位置に及ぼす影響を調査する./(2)ハイスピードカメラを用いてプロペラント噴射初期の過渡的な挙動を観察する./(3)触媒種(Ir, Pt, Pd, CuO),触媒形状(粒,ハニカム),および触媒層寸法を変化させ,反応帯位置に及ぼす影響を調査する./(4)プロペラントの種類(SHP163, AMU系)を変化させ,スラスタ内部現象の差異について理解する./(5)各種実験の結果に基づき,スラスタ内部現象の物理モデルを構築する. FY2025Q3~Q4頃には,スラスタ内部現象の物理モデルの最終検討を行い,各種条件(推進剤流量,ノズルスロート径,触媒種,触媒形状,触媒寸法,推進剤の種類)が内部現象(物理モデル)に与える影響についてまとめる. また,得られた結果は随時学会等へ公表することを予定している.
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