| 研究課題/領域番号 |
23K04232
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 康広 九州大学, 工学研究院, 助教 (00725624)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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| キーワード | Unscented Kalman filter / ガウス過程回帰 / ライトカーブ / 機械学習 / カルマンフィルタ / 宇宙状況把握 / 推定 / デブリ |
| 研究開始時の研究の概要 |
宇宙物体の数や状態を把握する宇宙状況把握は健全な宇宙環境維持に不可欠である.高高度領域に対するSSAは,ライトカーブを用いた宇宙物体の状態推定が有効な手段とされている.しかし,ライトカーブがスカラ観測量であるのに対して,推定する状態変数は物体の軌道,姿勢,形状と光学特性など高次元になる.特に形状と光学特性を推定するためには無数のパラメータを必要とするため,有効な推定手法は未だ確立していない. 本研究は,ライトカーブを用いた未知宇宙物体の形状と光学特性を含む状態推定手法の構築を目的とする.
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| 研究実績の概要 |
昨年に引き続きガウス過程回帰を用いた状態推定の研究を進めた。宇宙物体の動きを正確に把握するためには、その姿勢を知ることが必要である。しかし、既存の研究では問題を簡易化するための仮定が多く設定されており、特に物体の形や表面の性質が分からない場合は、従来の方法では正確な推定が困難である。 本研究では、宇宙物体の明るさの変化(ライトカーブ,光度曲線)に注目し、これを手がかりに姿勢を推定する新しい手法を開発した。この方法では、機械学習の一種である「ガウス過程回帰(Gaussian Process Regression, GPR)」と非線形システムに有効な「Unscentedカルマンフィルタ」を組み合わせ、物体の表面特性が分からなくても、高い精度で姿勢を推定できるのが特徴である。有効性の検証は数値シミュレーションを行い、従来の手法よりも誤差が少なく、より安定して推定ができることを確認した。この研究成果は宇宙状況把握(Space Situational Awareness, SSA)を中心としたAMOS Conferenceで研究発表を行った.さらに,そこで議論した内容を受けて研究内容をまとめなおしたものを,国際学術論文誌のJournal of Space Safety Engineeringに投稿し,採択された.現在は,想定通り順調に研究が進んでいるが,計算機の性能に限界があり,大規模な学習データを使えていない点が課題である.
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,ガウス過程回帰(GPR)とカルマンフィルタを組み合わせた新たな姿勢推定手法(GPUKF)を開発し,未知の表面特性を持つ宇宙物体に対しても安定した姿勢推定が可能であることを確認した.これは当初の研究計画に沿った成果であり,国際会議,学術論文誌に成果発表ができていることもあり,想定通り順調に進捗している.一方で,現時点では計算機の性能やメモリの制約により,学習に用いるデータセットの規模が限定されており,より複雑な環境や長時間の観測データに対応するには今後の拡張が必要である.また,現在の手法は姿勢推定に特化しており,物体の形状推定にはまだ着手できていない.検証に用いる反射モデルや衛星形状を複数用意して,より現実に近い形状の宇宙物体を対象とした推定を行う必要もある.
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究では,光度曲線を用いた宇宙物体の姿勢推定に対し,ガウス過程回帰(GPR)とカルマンフィルタを組み合わせたGPUKF手法を提案し,数値シミュレーションによりその有効性とロバスト性を確認した.特に,対象物体の形状や表面の反射特性が未知であっても,一定の精度で姿勢を推定できる点は,従来法に対する大きな利点であり,今後の宇宙状況認識(SSA)や宇宙ゴミ対策への応用が期待される.現在の進捗としては,当初の計画に沿って順調に推移している一方で,計算機性能やメモリの制約により,学習に用いるデータセットの規模が限られているという課題が特に顕在化している.また,データセットの増大化に伴い,検証にようする計算時間増加も無視できなくなってきている.そのため,より多様な姿勢や表面特性・形状を含む学習データの構築だけでなく,計算プログラムの効率化等に必要な今後の計算環境の強化が不可欠である.また,現時点では姿勢推定に焦点を当てているが,本来の目標である形状推定にはまだ取り組めていない.今後は,これらの課題を解決しつつ,実際の望遠鏡を用いた観測データを取得し,提案手法による姿勢推定の実証実験を行うことで,理論的検証にとどまらない実用性の評価を進めていく予定である.この過程で,観測ノイズの影響や実データの不確かさに対するGPUKFの性能を検証し,より信頼性の高い推定アルゴリズムの確立を目指す.
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