研究課題/領域番号 |
23K04235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
坂上 昇史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70244655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 航空宇宙流体力学 / 超音速乱流 / 超音速境界層遷移 / 超音速混合遷移 / ヘアピン状渦構造 / 乱流エネルギー生成機構 |
研究開始時の研究の概要 |
超音速境界層の乱流遷移予測や超音速混合促進のための乱流制御には超音速流を直接的に乱流遷移に導く組織構造に関する知見が必須である.しかし,超音速流中の変動を実験的に捉えることは困難であり,超音速乱流に関する研究の多くは遷移レイノルズ数の特定や発達した乱流状態における組織構造などを主題としており,乱流遷移に導く組織構造に関する知見は十分であるとは言い難い.本研究は,実験と数値計算を併用し,超音速乱流遷移を支配する組織構造の発生機構と,組織構造による乱流エネルギー生成などに関する知見を得ることを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究は,超音速流中に導入した縦渦の崩壊過程や超音速境界層の乱流遷移過程を対象に,実験と数値計算を併用して,超音速流の乱流遷移を支配する組織構造の発生と,それに伴う乱流運動エネルギー生成等の観点から超音速乱流遷移に関する知見を得ることを目的する. 超音速縦渦の生成崩壊過程に関しては,実験で観察される周期的な変動が縦渦対をつなぐ形で形成されるヘアピン状の渦構造であることが数値計算により確認されていたが,撹乱の波長が実験で観察される波長より長いなど,実験を再現できているとは言い難かった.新しく導入したワークステーションを利用して計算精度を向上させた解析を行った結果,実験を再現する結果を得るとともにヘアピン状渦構造の生成機構や崩壊過程の詳細を明らかにした. また,縦渦の生成崩壊に及ぼす縦渦間の相互作用の効果を調べることを目的に,幅の広い超音速風洞を新たに作製し,種々の間隔で縦渦対を導入した流れ場について調べた.その結果,ある程度間隔が広くなると相互作用の効果が認められなくなるが,間隔が狭い場合は循環の大きな縦渦が生成され,下流に行くに従って急速に崩壊することを明らかにした. 超音速境界層の乱流遷移については,超音速縦渦の実験でも使用している小型超音速風洞壁に発達する境界層を対象としている.矩形断面を有する超音速風洞はノズル壁の曲率により主流に向心力を与える圧力場を生じ,風洞角部に縦渦が形成されて,その不安定性に伴う撹乱の横方向汚染によって乱流状態が広がっていくことが示唆されている.そこで,超音速風洞下壁に発達する境界層を熱線流速計により計測し,乱流遷移過程における変動特性について調べた.その結果,スペクトル分布に亜音速境界層の乱流遷移で観察される低速ストリークに相当する卓越周波数帯域が存在すること,風洞スパン中央より側壁側の変動実効値が小さく遷移がより進行していること等を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超音速縦渦の生成崩壊過程に関しては,おおむね順調に進展している. しかし,超音速境界層の乱流遷移に関しては,主に熱線計測により実験的に調べていたため,点計測による実験効率の悪さや,熱線計測が出来ない夏場など実験可能な時期の関係でやや遅れている. また,全体的に結果の得られた時期が遅れたため,当初予定していた学会発表を行うことが出来なかった.
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今後の研究の推進方策 |
超音速縦渦の生成崩壊に関しては,主に今回得られた数値計算結果を用いて,ヘアピン状渦構造の生成機構や崩壊過程の詳細,および,変動強度や乱流運動エネルギー生成の観点から乱流遷移機構等について考察する.また,得られた結果を学会で発表するとともに学術誌に投稿する. また,混合促進やスクラムジェットエンジンへの適用時における保炎などを目的として,超音速縦渦とキャビティ流を組み合わせた流れ場について調べる. 超音速境界層の乱流遷移に関しては,超音速縦渦に比べてスケールが小さいことに伴う実験結果の解像度や実験効率を改善するため,数値計算をより積極的に活用する.
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