研究課題/領域番号 |
23K04243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
永田 靖典 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (20635594)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 航空宇宙工学 / 大気圏突入機 / エアロキャプチャ / 飛行制御 / プラズマ流制御 / 電磁流体 |
研究開始時の研究の概要 |
エアロキャプチャは,惑星大気から受ける空気力を利用して惑星周回軌道投入に必要な所定の減速量を得ることで,惑星探査機のペイロード質量増加が期待できる宇宙輸送技術である.本研究では,電磁力を利用した電磁流体制御技術をエアロキャプチャに利用することを考えており,その基礎的な検討を行うことを目的としている.エアロキャプチャ時の機体周囲には高温のプラズマ気流が生じ,これに電磁力を作用させることで,エアロキャプチャに必要な軌道制御能力を獲得することを目指している.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,惑星探査機のペイロード質量増加が期待できるエアロキャプチャに対して,先進的な大気圏突入技術として提案されている電磁流体制御技術の適用について検討し,その可否や効果を明らかにするとともに,必要となる制御能力を向上させる方法を数値的・実験的に模索することを目的としている. 本年度は,エアロキャプチャへの効果を検討するためのベースラインミッションを選定し,軌道計算によりその飛行環境について検討を行った.エアロキャプチャは,機体に作用する空気力を制御することで,惑星間軌道から惑星周回軌道へ軌道変更する技術であり,近年では天王星探査への適用が期待されている.そこで,先行研究で検討された天王星エアロキャプチャミッションをベースラインとして選定し,その飛行環境を軌道計算により求めた.結果として,大気圏内飛行中は極めて高速度で飛行するため,大きな電磁流体制御効果が期待されることが示唆された.ただし,天王星大気は水素が主成分であるが,そのような大気において電磁流体制御効果がどのように作用するかは,実験的のみならず,数値解析的にも明らかとはなっておらず,まずは数値解析による検討が必要と考えている. 制御能力の向上に向けた検討として,傾き一定壁面周りの流れ場に対する電磁流体制御効果について数値的に検討した.結果として,球頭壁面周りの流れ場に対するものよりも,大きな変化を発生でき,これを応用することで空気力を大きく変化できる可能性が示された.また,高透磁率材であるパーマロイを磁石周りに配置したときの磁場分布の影響についても検討を進め,局所的に磁場強度が向上することを確認した.加えて,実験における検証手段として,アーク加熱風洞装置に適用可能なシュリーレン光学系を新たに構築し,流れ場,特に衝撃波の可視化を試みた.今後,アーク加熱風洞装置を用いた電磁流体制御効果の実験検証を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,本年度からエアロキャプチャの軌道計算で必要となる空力特性データベースを,電磁流体シミュレーションを用いて作成する予定であったが,ベースラインミッションとした天王星の大気に対する電磁流体制御効果について,追加の数値的検証が必要となったため,データベース作成に至っていない. しかし,ベースラインミッションの軌道計算から,エアロキャプチャに必要となる制御能力には目途が立っており,制御能力向上に向けた知見も得られていることから,電磁流体制御を用いたエアロキャプチャ用の機体を具体的に検討できる段階にあるといえる.そのため現時点では,空力特性データベースの作成と,その結果をフィードバックとして反映した機体再検討のサイクルを少なくでき,効率よく作業を進めることができると考えている. 以上の理由により,達成度としては「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続きエアロキャプチャ時の飛行環境およびその飛行環境における電磁流体制御効果について検討を進めると同時に,制御能力の向上方法について模索する. 天王星大気に対する影響を評価するために,その実在気体効果を数値解析により模擬し,それに対する電磁流体制御効果について検討する.大気圏突入時の天王星大気の実在気体効果については,いくつかの先行研究で数値的に取り扱われており,それを参考にして,早期に実施する. 空力特性データベースについては,本年度に得られた知見を用いて,高い制御能力が得られる機体について検討を行った上で,データベース作成を進めていく. 制御能力の向上方法については,実験的な検証を進めて,実際に電磁流体制御効果が向上することを実証していく.
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