研究課題/領域番号 |
23K04244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
植田 聡史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究領域主幹 (10792400)
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研究分担者 |
小川 秀朗 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30817565)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 最適制御 / 宇宙機 / 深層学習 / 機械学習 / Neural ODE / 軌道制御 / 多目的最適化 / Reservoir computing / 宇宙機の制御 / 最適制御問題 |
研究開始時の研究の概要 |
Neural ODEは連続ダイナミクスを表現可能な深層学習である。一般的なニューラルネットワークは有限回の変換(層)の組み合わせで構成されるが、Neural ODEは常微分方程式を使った関数を層として利用する。本研究では、Neural ODEを活用した最適制御問題の解法および誘導制御則、これらを応用した宇宙ミッション設計手法を提案することで、情報科学分野の革新的技術と宇宙工学分野の誘導制御技術の融合による新たなイノベーションを実現する。
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研究実績の概要 |
本研究は2つのフェーズから構成される。フェーズ1(適用検討フェーズ)では、連続ダイナミクスを表現可能な深層学習であるNeural ODEを活用した最適制御問題の解法および誘導制御則を提案し、条件変動に関する感度分析・不確定性解析によりロバスト性を検証する。フェーズ2(実証・拡張フェーズ)では、多目的最適化アルゴリズムと組み合わせた宇宙ミッション設計手法を提案・実証する。 2023年度は計画通り、Neural ODEの最適制御問題への適用検討を完了した。引き続き、誘導制御則の詳細化および感度分析・不確定性解析・多目的最適化に着手した。 Neural ODEの最適制御問題への適用検討では、地球低軌道におけるランデブミッションを対象に、瞬時の位置速度に関する軌道状態量から直接的に制御量を生成し、目的とする境界条件を満足する軌道に沿って飛行することができる新たな考え方の軌道制御則を提案し、最適制御問題の解法として有効であることを示した。本提案により、従来の軌道制御手法における技術課題を解決することができることを示した。 誘導制御則の詳細化検討では、上述の軌道制御則に対して、Reservoir computingの考え方を適用することにより機能性能を拡張した。ここでは、Neural ODEの中間層に相当するパラメータを乱数で初期化したうえで学習対象から除外・固定し、最適化対象となるパラメータ数を削減した。これにより、学習計算コストを大幅に削減するとともに、汎用的な非線形最適化アルゴリズムが適用可能となり、制御則の設計に加えてミッション設計の最適化への道筋をつけることができた。 感度分析・不確定性解析・多目的最適化では、進化的アルゴリズム、GPUを用いた超並列計算などの手法による多目的最適化に着手し、Pareto front探索における提案手法の有用性を示し、以後の研究に繋がる課題を識別した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していたNeural ODEの最適制御問題への適用検討を完了し、2024年度への継続を予定していた、誘導制御則の詳細化および感度分析・不確定性解析・多目的最適化に着手した。提案手法が最適制御問題の解法として有効であることを示したこと、Reservoir computingの適用による学習計算コスト削減および汎用非線形最適化アルゴリズムの適用を実現したこと、多目的最適化のPareto front探索における提案手法の有用性を確認したことで、研究計画のゴールとなる宇宙ミッション設計の最適化への道筋をつけることができた。以上から、おおむね順調に進展している、と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、誘導制御則の詳細化として、Neural ODEのネットワーク構成の検討およびReservoir computingの適用に関する検討を進め、宇宙機の自律型誘導制御に適した誘導制御則の構成を見出す。条件変動に関する感度分析・不確定性解析について、進化的アルゴリズム、GPUを用いた超並列計算を含む複数の手法による検討を進め、多目的最適化におけるPareto frontの探索手法を確立する。並行してミッション設計評価において適用する宇宙ミッションシナリオの選定に着手する。
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