研究課題/領域番号 |
23K04270
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | リターン予測 / 時系列モデル / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
機械学習の高性能化に伴い,投資戦略構築の際のリターン予測においても機械学習の適用が広がりつつあるが,実際のポートフォリオ構築に適用するにはリスクやリターン間相関の定量化など課題も多い.本研究では,構造が柔軟で予測力に優れた機械学習と,金融市場の統計的特性の記述力に優れた時系列モデルを組み合わせることで,リターン予測の精度向上のためのフレームワークを構築し,幅広いデータに対する実証分析で有効性を検証する.
|
研究実績の概要 |
初年度である本年度は,研究の第1フェーズの前半として,分析環境の整備と株式ファクターのリターン予測に関する分析を中心に行った.分析環境では,複数のリターン系列に対してレジームシフトや不均一分散を組み込んだ時系列モデルの推定を行う.この際,レジームシフトするパラメータや不均一分散の構造が異なる複数のモデルからモデル選択を行ったり,選択されたモデルの診断を行う.次に,モデルから抽出された残差系列に対して,変量間の相関構造や時間方向の依存関係を検証し,必要に応じてモデル化を実施する. 株式ファクターのリターン予測に関しては,本邦株式市場の代表的な6種類のスタイルファクターに対して,まず系列ごとに時系列モデルを適合し,各ファクターの残差系列の相関構造を観察した.その結果,残差の相関は時期によって正負が変化するなどかなり大きな幅で変動していること,複数のファクターが同時に大きく変化する状況では,上昇よりも下落側の方が相関が強まるという非対称性が存在することなどを明らかにした.また,こうした相関構造を適切にモデル化してファクター選択を最適化する際の目的関数を計算することで,リスク抑制効果が働き,投資パフォーマンスが改善することを確認した.ファクター投資は,ファクター間の相関が安定的に低位であることを前提としているが,これらの結果はそうした前提が必ずしも成立していないことを示唆するとともに,そのことで生じる投資におけるリスク管理的な課題への対策を与える成果と考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は全体で3つのフェーズから構成されており,最初の1年半程度でフェーズ1を実施する計画であるが,初年度はフェーズ1で予定している内容のうち,分析のための環境整備を行った上で具体的な分析も一部実施しており,概ね計画通りの進捗と考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目はフェーズ1の後半として,機械学習系のモデルを用いた場合の残差に対する予測力の検証を中心に株式リタ―ン予測に関する分析を継続するとともに,分析結果によっては,ボラティリティなど他の量の予測についても検討を行う.また並行して,フェーズ2として,機械学習を適用する場合のハイパーパラメータの推定や交差検証の妥当性についても検討を行う.3年目以降は,こうした分析を深化させつつ,分析対象資産を債券等にも拡大して実証研究を行う.
|