研究課題/領域番号 |
23K04276
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
八木 勲 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (10457145)
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研究分担者 |
高島 幸成 長岡大学, 経済経営学部, 講師 (70743904)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エージェントシミュレーション / 人工市場 / 市場流動性 / 裁定取引 / ETF / メイカーテイカー制 / 高頻度取引 / 金融危機 / ファイナンス |
研究開始時の研究の概要 |
IT発展に伴い高頻度取引(HFT)と呼ばれる自動取引が金融市場全体の取引量に対し高い割合を占めるようになり、これまでに金融危機時にHFTが市場に与える影響に関して数多くの検証が行われてきた。最近になってHFTの取引戦略は時代によって大きく異なるため金融危機時に市場に与える影響も異なると考えられる。 そこで、本研究では、コンピュータ上に仮想的な金融市場(人工市場)を構築し、各時代におけるHFTが金融危機時に市場に与える影響を調査、整理し、これらの調査結果を基に、各金融危機時においてどのような市場規制が適切であるかを見極め、金融危機に備える。
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研究実績の概要 |
IT発展に伴い高頻度取引(HFT)と呼ばれる自動取引が金融市場全体の取引量に対し高い割合を占めるようになり、これまでに金融危機時にHFTが市場に与える影響に関して数多くの検証が行われてきた。最近になってHFTの取引戦略は時代によって大きく異なることがわかってきたが、従来の研究ではHFTの取引戦略の違いに着目して金融危機時に市場に与える影響を議論したことはなく、市場規制をはじめとする市場安定化方策についてもこの観点で議論されたことはほとんどなかった。 そこで、本研究では、マルチエージェント技術に基づいた仮想金融市場(人工市場)を構築し、各時代におけるHFTが金融危機時に市場に与える影響を調査、整理し、これらの調査結果を基に、各金融危機時においてどのような市場規制が適切であるかを見極め、来るべき金融危機に備えることを目的とする。 2023年度は近年のHFTの取引戦略を調査したところディレクショナル戦略が台頭していることが判明したため、本戦略を人工市場上に実装し、そのパフォーマンスとディレクショナル戦略が市場に与える影響について調査した。その結果、単純なディレクショナル戦略ではパフォーマンスがよくない可能性が高いことがわかった。それを改善しようとするとHFTではなくなることもわかった。ディレクショナル戦略については市場急落の原因によってパフォーマンスがよくなったり悪くなったりすることも解明できた。 一方で,HFTは裁定取引でも利用されており、メイカーテイカー制という市場制度が導入された市場と非導入の市場間で裁定取引が実施されたときの市場への影響についても議論した。その結果、市場の質を表す流動性指標の観点では、メイカーテイカー制が導入された市場の流動性が向上することがわかったが、市場の量を表す流動性指標の観点では、メイカーテイカー制が非導入の市場の流動性が向上することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、近年のHFTの取引戦略を調査したところディレクショナル戦略が台頭していることが判明したため、本戦略を人工市場上に実装し、そのパフォーマンスとディレクショナル戦略が市場に与える影響について調査したところ、単純なディレクショナル戦略ではパフォーマンスがよくない可能性が高いことがわかった。それを改善しようとするとHFTではなくなることもわかった。ディレクショナル戦略については市場急落の原因によってパフォーマンスがよくなったり悪くなったりすることも解明できた。 以上より、おおむね当初の予定どおり進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現状順調に進んでいるため、当初の予定通り進めていく予定である。
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