研究課題/領域番号 |
23K04283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
石田 武志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (50438818)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非平衡熱力学 / 散逸構造 / セルオートマトン / チューリングパターン / 自己組織化 / 確率格子モデル / 分散エネルギー / 群れロボット / エントロピー / 離散モデル / 複雑適応系 |
研究開始時の研究の概要 |
開発する散逸構造シミュレーションは、計算格子上で複数種に要素を扱う「マルチセット確率格子モデル」に、反応拡散方程式に基づく「形態の自己組織化モデル」を組み入れたものである。本研究では、これにさらに「進化能」を付加し、内部階層化が創発されるメカニズムを探り、散逸構造系が進化能力を保持した「散逸適応系」に発展するところまでを実現するものであり、さらに望む形の「散逸適応系」を設計するための方策を合わせて検討をするものである。
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研究実績の概要 |
生物・生態系や都市・社会システムは局所的な相互作用から自己組織的に形成され、エネルギーと物質の代謝を行いながら自律的に駆動し、さらにその形態や内部構造を進化させている。このような複雑な形態を自己組織的に構築し進化させる技術は、工学が目指す究極の目標の一つである。本研究は、提案者が既に構築してきている「散逸構造の創発シミュレーション」を基礎として、散逸構造系の内部構造や機能が複雑に進化する条件を検討できる「散逸適応系の創発シミュレータ」の開発を行い、散逸構造の形が持続されながら、さらに外部環境に対して適応進化するための条件や、望ましい系の構成を設計する手法を探るものである。このシミュレータにより、群れロボットの制御や、地球環境問題など、社会や生態系が関わる複雑な問題の解決のための糸口を見出すことができると考えられる。 2023年度においては、「散逸適応系の創発シミュレータ」の基盤として、モデルに遺伝的コードを記述するメカニズムを導入することで、エネルギー代謝する散逸構造系が周囲の環境に応じて進化能力をもつことを示すことができ、論文として出版することができた。またシミュレータの応用として、地域の再生可能エネルギーネットワークの自己組織的形成モデルへの適用の検討を行った。さらに、群れロボットが隣接ロボットとの簡易な相互作用のみで、自己組織手的に集積、形の維持をしながら移動するモデルに応用し基礎的モデルを構築し、論文としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の「散逸適応系の創発シミュレータ」は、計算格子上で複数種に要素を扱う「マルチセット確率格子モデル」に、反応拡散方程式に基づく「形態の自己組織化モデル」を組み入れたものである。本研究では、これにさらに「進化能」を付加し、内部階層化が創発されるメカニズムを探り、散逸構造系が進化能力を保持した「散逸適応系」に発展するところまでを実現するものであり、さらに望む形の「散逸適応系」を設計するための方策を合わせて検討をするものである。 「研究実績の概要」において示したとおり、2023年度においては、「散逸適応系の創発シミュレータ」において、モデルに遺伝的コードを記述するメカニズムを導入することで、エネルギー代謝する散逸構造系が進化能力をもつことを示すことができ、論文として出版することができた。今後は、このモデルの開発をさらに進め、遺伝的な情報子の創発プロセスを実現するモデルへと拡張を行うことを計画している。また、「散逸適応系の創発シミュレータ」の応用として、地域の再生可能エネルギーのネットワークの自己組織的形成への応用モデルの検討を行った。これは太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の群れを考え、エネルギーが自律できる群れを構成し、その群れが環境の条件に合わせて自己調整していくことができるものである。さらに、群れロボットが隣接ロボットとの簡易な相互作用のみで、自己組織手的に集積、形の維持をしながら移動することができる、新しいアルゴリズムを提案した。そのアルゴリズムを2次元シミュレーションモデルでその有効性を確認したものであり、現在論文としてとりまとめを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、以下のことを検討している。(1)「散逸適応系の創発シミュレータ」の開発をさらに進め、短い遺伝的な情報子から長い情報子が創発するプロセスを実現するモデルの開発を行う予定である。これにより、エネルギー代謝する細胞状の形状の創発、遺伝情報子の創発と進化の創発プロセスを同時に実現するモデルが完成する予定である。(2)このプロジェクトで開発した「散逸適応系の創発シミュレータ」の応用として、地域エネルギーネットワークへの適用したモデルの開発を継続していく。(3)「散逸適応系の創発シミュレータ」を応用した群れロボットの制御アルゴリズムの成果について論文としてまとめる。(4)散逸適応系の内部の多重構造の創発モデルを構築し、論文としてまとめる。
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