研究課題/領域番号 |
23K04284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 社会システム / シミュレーション / 被験者実験 / 人工市場 / 実験室実験 |
研究開始時の研究の概要 |
新規投資家の連続的・断続的な参入は、金融市場の価格変動に影響を与え、またそのことが、実市場に見られる統計的法則性の背後にある可能性がある。本研究では、まず、実験室実験により、市場への連続的な新規算入が価格変動および実験参加者の行動・価格予測に与える影響を分析し、同時に、投資家の行動・価格予測の様式を検証する。この様式に基づいたABS(エージェント・ベース・シミュレーション)により、まず、実験室実験の取引価格や予測を定性的に再現し、さらに、投資家数と取引期間を拡張したABSを用いることで、新規投資家の連続的・断続的な参入が市場に与える影響と統計的法則性を検証する。
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研究実績の概要 |
新規投資家の連続的・断続的な参入が金融市場の価格変動に与える影響に関連して、近視的な損失回避(MLA)の役割に関する実験のデータの検討を行った。MLAは投資家が短期的な損失を避けるために長期的な利益の機会を犠牲にする傾向を指す。この行動バイアスは市場の価格変動に影響を与える。経験の乏しい新規投資家が市場に参入する際、リスクに対する感受性が高いためMLAの影響を受けやすく、短期的下落や変動に直面した際に資産売却への過剰なバイアスが発生し、ひいては市場の不安定化・価格の歪み/変動の増幅に繋がる。30期間の選択実験において、利益の参照点が中立的あるいはプラスの領域にある場合にはMLAが発生するが、マイナスの領域にある場合はMLAが発生しないことを分析により明らかにした。また、トレーダー間の信念(予測)の異質性が価格形成に与える影響を分析した研究については、実験資産市場で、他の参加者の信念の情報を参加者が得た時に、それら予測の中央値に自身の予測を合わせる傾向があること、長期信念が共有知識になると市場価格の過剰反応が抑制されること、以上のことが資産価格変動にも影響が出ることを確認している。これら結果は論文にまとめて学術誌に投稿したが、現在、査読コメントに従って改訂中で再投稿を検討中である。なお、資産市場実験に関しては、慶応大学の共知塾にて講演を行った他、Nijmegen School of Management の Experimental Sustainable Finance Symposyumでは、Cognitive Abilities and Experimental Green Financeについての発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資産市場に関する上述の研究に関し、再投稿の準備を進めている他、国内および国外の研究会で発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、上述の研究成果の出版を目指す。MLAに関する研究に関しては、現在得られている結果を検証・補強するため、より多くの被験者を加えた実験を行う。実験のレベルでは既に一定の成果を得ているので、その行動(数理)モデルの構築を行う。
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