研究課題/領域番号 |
23K04285
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中川 秀敏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30361760)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 気候変動リスク / 温室効果ガス排出 / 信用リスク / 炭素排出量 |
研究開始時の研究の概要 |
金融機関にとって気候温暖化や大規模水害発生に代表される気候変動リスクは、企業の信用リスクにも影響を及ぼす側面があることが指摘されている。本研究では、二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス排出の企業財務へのインパクトを構造アプローチの枠組みでモデル化して、温室効果ガス排出量が企業のデフォルト確率などの信用リスク指標に及ぼす影響を様々なチャネルごとに把握できる形で分析すること、および、大型台風などに起因する大規模水害損失リスクの計量モデルを地域の土地特性も考慮できるように発展改良し、地域レベルでの大規模水害による経済損失シミュレーション分析などを実施することを目指す。
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研究実績の概要 |
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関して、早稲田大学で開催された国際会議 10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics (ICIAM 2023)のミニシンポジウムで、山中卓氏との共同研究 "Gross-revenue-based structural credit risk model" という題目で、売上・費用を独立してモデル化し、営業資産と非営業資産を区別してデフォルト確率を評価する新たな構造型モデルとその数値実験について発表した(口頭発表は山中氏担当)。本テーマに関しては国内学会でも1件の発表を行い、モデルの妥当性などについて議論を行い、モデルの改善を目指して研究を継続している。 また、同国際会議では気候変動リスクのファイナンスへの影響に関する資料収集に努め、特に本テーマに直接関連する売上・費用・温室効果ガス超過排出に対するペナルティを考慮した企業価値およびデフォルト確率評価モデルに接することができ、提案モデルの発展の方向性を検討するのに役立った。 くわえて「企業の炭素排出量と信用リスクの関係について」という題目の修士論文研究を行った関俊哉氏の研究指導を継続する形で、関氏を研究協力者として国内の研究集会で2件報告を行ってもらった。さらに、データ整備に協力いただき、そのうえで関氏の修士論文を発展する形で日本語論文にまとめてワーキングペーパーとして公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関する資料収集は大いに成果があり、またそれを活用するための売上・費用ベースの信用リスクモデルの研究の方向性にも一定のめどがついたと考えている。論文作成にはまだ時間を要すると考えられるが、新型コロナ問題のため1年間延長していた別研究課題の論文作成にめどがついたこともあり、こちらの研究課題にエフォートを注力できることが見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関しては、山中卓氏との共同研究 "Gross-revenue-based structural credit risk model" を進めて、温室効果ガス排出の正負両面のインパクトについて、サーベイを行った関連研究のアイデアを取り入れ、モデルの理論インプリケーションおよびその数値実験・実証などを行い、論文としてまとめたいと考えている。 また、研究協力者の関氏の「企業の炭素排出量と信用リスクの関係について」論文の投稿・採択に協力する予定でいる。
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