研究課題/領域番号 |
23K04289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
小林 重人 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20610059)
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研究分担者 |
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90313709)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 廃止措置 / 原子力知識マネジメント / 知識創造 / ジェネラティビティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、原子炉施設における廃止措置が技術者の「生み出し育てる力」であるジェネラティビティの発達にどのように作用するか、そしてそのジェネラティビティが組織における知識継承と知識創造にどのように作用するかを明らかにすることである。この目的を達成するために、廃止時期が異なる2つの原子炉施設で質問紙調査とインタビュー調査を実施する。調査から明らかとなった知見を基に、大規模な業務転換中の組織における知識創造の新たな理論的枠組みを構築し、ジェネラティビティを高める、現場で適用可能な知識マネジメントの方法を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は「ジェネラティビティ」と呼ばれる「生み出し育てる力」という概念に着目し、廃止措置中の原子炉施設に勤務する技術者を対象に、廃止措置が技術者のジェネラティビティの発達にどのように作用するか、そして技術者のジェネラティビティが組織における知識継承と知識創造にどのように作用するかを明らかにすることを目的としている。 令和5年度は、知識継承行動が原子炉施設内でどのように生み出されているのか、そして廃止措置に関する新しい知識がどのように生み出されているのかを明らかにするため、 「ふげん」に勤務する50~70代のベテラン技術職6名に対してフォーカスグループを実施した。 その結果から、廃止措置によって原型炉である「ふげん」を発展させて新型転換炉(ATR)の商用化へ向けた道が失われたことで、社会に対する強い目的意識が一部失われたとことがわかった。また、運転停止によって組織として知識創造する場が少なくなっていったこともわかった。しかしながら、廃止措置作業においても運転時代と同様に各現場やそれを支える組織においても継続した知識創造が必要である。今後、廃止措置を効率的かつ適切に完遂するためには、トラブル対応という側面以外にもさらなる技術開発を含めた知識創造が求められる。実際にふげんでは、廃止措置移行後に職員の自己学習が生まれており、フォーカスグループでも「運転時代に培った原子力施設の構造や汚染範囲に関する知識が廃止措置業務に役立った」との発言が見られた。また「廃止措置もひとつの大きなプロジェクトである」という発言から、現在では廃止措置業務に準じた新たな高次の目的意識が形成されていると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の実施計画に含まれていた「ふげん」に勤務するベテラン技術職6名に対するインタビュー調査を遂行でき、その内容について日本原子力学会にて報告することができた。また、その調査内容を含めたこれまでの成果を2024年4月に刊行された学術雑誌『横幹』Vol.18に「廃止措置における原子力発電所職員のジェネラティビティと知識マネジメント」というタイトルで掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に実施したベテラン技術職に対するインタビュー結果から、令和6年度は地域継承される側である若手技術職へのインタビュー調査を実施する予定である。その内容として「先輩職員から後輩職員への知識がどのように継承されているか」「現場において新しい知識がどのように創造されているか」といった知識継承や知識継承の実態を明らかにすると共に、知識継承されやすい組織となるためにどのような要素が必要となるのかについても明らかにしていく予定である。
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