研究課題/領域番号 |
23K04290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
石崎 龍二 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90265017)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非定常時系列 / 時系列解析 / 異常検知 / 統計力学 / エントロピー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、非定常時系列に対する短期情報に着目した異常判別・検知の解析法の体系化と実証に取り組む。 非定常な時系列を発生させるメカニズムを解明するため、非線形現象の数理モデルが示す異常な動的現象に対して統計力学的考察を行う。そうした上で、短期情報による時系列解析法の理論的な体系化に取り組む。さらに、気象、経済等の観測データにこの解析法を応用し、検証する。 非定常時系列から、観測対象の状態を迅速に異常判別・検知するための時系列解析法を開発することで、安全な社会システムの仕組み作りにつなげることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、非定常時系列の統計的性質と発生メカニズムとの関係を統計力学的に考察し、非定常性に着目した短期情報による時系列の異常判別・検知に有効な時系列解析法の開発を行うものである。この時系列解析法の開発により、非定常時系列から観測対象の状態を迅速に異常判別・検知することを可能にし、データに基づいた異常検知と迅速な対応が可能となる社会システムの仕組み作りに貢献することを目指している。 2023年度は、経済時系列として外国為替レートと日経平均株価についての解析を行った。具体的には、1990年から2023年までの円ドル為替レートと1949年から2023年までの日経平均株価の日次データを対象に分析を行った。この解析では、日次データの大きな変動に着目し、短期情報量によって確率過程の観点からランダムな変動との差を定量化することによってクライシスの発生期間を抽出する新たな方法を開発した。非定常時系列の異常判別・検知に役立つように、こうしたクライシスの発生期間の抽出方法や時系列解析法の開発を進めている。 また、火山噴火時系列の解析については、鹿児島地方気象台から1955年から2023年の桜島火山の爆発的噴火データの提供を受け、その時系列解析を行った。この解析から、噴火回数の時系列のハースト指数が0.5を超え持続性をもつ変化をしていることがわかった。さらに、火山活動の変動についての統計的な性質を詳細に調べるために、火山噴火回数の推移の時間変化の特徴を分析した。これに加えて、こうした爆発的噴火推移データに基づくモデリングを試みた。将来の噴火予測やリスク管理に貢献できるように、これらの研究をさらに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、経済時系列と火山噴火時系列の解析を行った。 経済時系列の解析では、外国為替レートと日経平均株価に焦点を当て、日次データの変動を詳細に分析した。特に、確率過程の観点から短期情報量によるクライシスの発生期間の新たな抽出方法を開発した。 一方、火山噴火時系列の解析では、桜島の1955年以降の火山噴火観測データを活用し、噴火回数の時系列の持続性や変動の特徴を捉えることができた。 以上の経済時系列におけるクライシスの発生期間の抽出や火山噴火時系列の解析結果は、次年度以降の非定常時系列における異常判別・検知を行う時系列解析法の構築に向けての重要なステップとなった。 このように2023年度までの研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
経済時系列の解析では、金融市場の混乱期には、株価間や外国為替レート間の相関が急激に変化することがある。そこで、今後の経済時系列の解析では、複数銘柄の株価や複数の外国為替レートの時系列を対象とした分析を進める。 一方、火山噴火時系列の解析では、桜島の火山活動だけではなく、他の火山のデータも含めた火山活動データの収集を行い、分析を進める。 こうした分析対象の拡大により、非定常時系列の異常判別・検知に実用的で有効な時系列解析法の開発につなげていく。
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