研究課題/領域番号 |
23K04292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
高田 英行 東邦大学, 理学部, 教授 (00637423)
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研究分担者 |
中川 秀敏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30361760)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 情報アプローチ / クレジットデリバティブ / 確率微分方程式 / 数理ファイナンス |
研究開始時の研究の概要 |
イベントドリブン型リスクの伝播について本格的な実証分析を可能にすることを目的に、情報アプローチに基づくデフォルト伝播モデルを理論的に拡張する。具体的には、(i) 対象を社債からクレジットデリバティブまで広げるための理論の拡張、(ii) 情報ソースを1次元から多次元化するための理論の拡張、である。2024年度から開始予定の実証分析フェーズでは、(iii) 情報ソースとしてどのようなものが適切か、(iv) 抽出した情報ソースがクレジットデリバティブ等の価格変動をどのように説明できるのか、を研究する。
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研究実績の概要 |
イベントドリブン型リスクの伝播についての実証分析を行うことを目的に、情報アプローチに基づくデフォルト伝播モデルの拡張を行った。具体的には、当初計画の最初の項目である、対象を社債からクレジットデフォルトスワップへと変えた場合にスワップスプレッド(理論プレミアム)がどのような確率的ダイナミクスを持つかを調べた。 クレジットデフォルトスワップの代表例として、ファースト・トゥー・デフォルトスワップを考え、そのスワップスプレッドが従う確率微分方程式を導出した。そのボラティリティ項は確率的に変動することがわかり(従って確率ボラティリティモデルとなり)、さらにボラティリティ項が従う確率微分方程式を導出した。ファースト・トゥー・デフォルトスワップは、参照プール内に最初に発生するデフォルトをトリガーとしてキャッシュフローが立つデリバティブ取引であるため、デフォルト伝播の影響がどのようなものになるか未知であったが、トレンド項とボラティリティ項の双方に影響があることがわかった。とくにボラティリティ項に対しては、参照プール内のふたつの企業のデフォルト時刻の共分散に関連する項が含まれ、デフォルト伝播に対応するリスクが内包されていることがわかった。 ここまでの内容を学術論文誌に投稿するため、準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファースト・トゥー・デフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式のみならず、シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式も導出する予定であった。しかし、ファースト・トゥー・デフォルトスワップのボラティリティ項が複雑な確率的挙動を持っているように見えたため、詳細に調べることとし、その確率微分方程式を導出する研究を優先させた。そのため、シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式については未着手のままとなった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式の導出を行い、参照プール内のある企業がデフォルトした直後の別の生存企業の確率的ダイナミクス、即ちデフォルト伝播について研究を行う。 (2)ファースト・トゥー・デフォルトスワップの現在価値の変動をクレジットデフォルトスワップでヘッジする際、デフォルト発生後に顕在化するリスクについて、デフォルト伝播を考慮して研究する。 (3)iTraxx JapanやCDXなどのクレジットインデックスの確率微分方程式を導出するため、トップダウンアプローチのように増大情報系を簡略化する方策を探る。 (4)(3)を解決したあと、クレジットインデックスオプションの理論価格公式を導出する。
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