研究課題/領域番号 |
23K04293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 学 早稲田大学, データ科学センター, 教授 (80308204)
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研究分担者 |
平澤 茂一 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (30147946)
松嶋 敏泰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30219430)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | データ解析 / 因果推論 / 潜在構造分析 / 協調フィルタリング / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
ビッグデータを用いて新しいビジネス施策を検討するとき,過去のビジネス施策に対する種々のバイアスが含まれるビッグデータから,その施策の効果を定量的に把握することは従来困難であった. 本研究では企業活動のデータを「顧客情報」「商品情報」「消費活動(顧客のアクション)」「ビジネス施策(企業のアクション)」の4種として表現し,これらの統一的な潜在構造による数理的フレームワークの開発を行う.次いで各ビジネス施策と各顧客の消費行動との関係を評価するための分析方法の提案を行う.結果的にビジネス施策における種々のKPIそのものを定量的に推定・評価するための分析方法を明らかにする.
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研究実績の概要 |
ビジネス施策を正しく評価するためには,種々のバイアスが含まれるデータから,その施策の効果を定量的に把握する必要がある.本研究では企業活動のデータを「顧客情報」「商品情報」「消費活動(顧客のアクション)」「ビジネス施策(企業のアクション)」の4種として表現し,その背後にある潜在構造を仮定した統一的なデータの生成観測メカニズムのフレームワークの提案を目指している.初年度は顧客と商品にそれぞれ潜在変数を仮定し,顧客情報,商品情報,消費行動およびビジネス施策と上の潜在変数との関係の数理構造を検討した.この時潜在変数間に階層構造を仮定することにより,上の様々な観測変数の複雑な関係を表現できることが分かった.また従来消費行動に量的変数を仮定していたが,消費行動が質的変数である場合の潜在構造とその推定アルゴリズムを提案し,有効性を示した.具体的には顧客と商品に対応する潜在変数を仮定する.次にこれらの潜在変数からそれぞれ顧客情報および商品情報が生成観測されるものとする.さらに顧客と商品の潜在変数同士の内積をとり,これにロジスティックシグモイド関数を適用することにより消費行動の質的変数が生成観測される潜在構造である.この時潜在変数と観測変数との関係にオリジナリティがあり,潜在構造の推定アルゴリズムは既存の統計的手法並びにモデル選択基準などを利用することが可能である.さらにこの潜在構造をうまく活用したモンテカルロEMによる繰り返し法を用いることにより,推定精度を上げることも可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は協調フィルタリングにおける統一的潜在構造モデルの検討に関して,潜在構造の具体的な階層構造とベイジアンネットワークによる統計的数理モデルの検討を行うことができた.また量的観測変数と質的観測変数をそれぞれ扱うための枠組みを明らかにした.以上の理由から,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
検討を行った潜在構造モデルに対する推定アルゴリズムの検討,並びに評価の実施を行う.また質的観測変数に対する構造として現在はロジスティックシグモイド関数による尤度を指標としているが,多値の場合の検討や,場合によってはError Correcting Output Codesの手法を検討することも考えられる.さらにはこれ以外のモデルの検討も行う.また現時点では通常の尤度あるいは事後確率による評価基準を用いたモデル選択問題の枠組みだが,これに対する因果推論としての評価値の導出,更には一般のKPIについての検討も行う予定である.
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