研究課題/領域番号 |
23K04298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
崔 青林 北海道大学, 文学研究院, 博士研究員 (50585304)
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研究分担者 |
臼田 裕一郎 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 上席研究員 (60338241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マルチエージェントシステム / 意思決定支援 / 評価モデル / 代理エージェント / 自動生成 / 模擬実験 / デジタルツイン / 防災DX / 多主体複雑系 / エージェントシミュレーション / モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
公共政策分野においては,多様な主体による意思決定の合意形成を行う。例えば,災害時における情報共有は,多様な主体があらゆる方法や情報元を駆使し,災害の様相の変化についてシームレスに行われることが理想である。このことは,デジタルツインの考え方と親和性が高いといえる。一方で,その施策の実態は,まだ一般的なデジタルツインを成す条件には至っていない。本申請では,デジタルツインの要件から,自然災害を対象とした場合,仮想空間上に実装できる意思決定支援技術とその模擬実験を行う。本研究の研究成果は,防災分野の代表的な意思決定の分析を通じて公共政策分野における都市機能のデジタルツインへの示唆を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究では、デジタルツインの要件を考慮し、防災分野に焦点を当てた仮想空間上に実装できる意思決定支援技術を提案し模擬実験を行う。具体的には、多様な主体による代表的な意思決定の実態を整理し、その実態と異なる意思決定を提案し、模擬実験を通じてその効果を検証する。研究計画では、「1年目」に実態調査、「2年目」に評価モデルの構築、「3年目」に模擬実験を実施する計画である。 計画とおり、「1年目」では、申請段階の予備調査を含め、防災分野の代表的な意思決定に関する実態の整理にすぐに着手した。具体的には、多様な主体による代表的な意思決定の実態を整理し、模擬実験用のデータセットを構築した。また、防災分野のデジタル技術に関して、特に災害対応現場での実事例の整理にも着手し進めている。「1年目」の成果である模擬実験用データセットを活用し、計画書で予定されていた「2年目」の研究の一部を開始することができた。具体的には、風水害では、被害報告情報の実データを活用して激甚災害指定の可能性評価を行った。地震災害では、過去の実災害の計測震度情報を活用して被害状況評価やリスク評価を行った。ただし、大規模地震災害の想定では、南海トラフ地震および首都直下地震のハザード評価結果を用いている。また、オンライン・ディスカッションを想定した実証実験では、討議内容を評価する討議データの分析方法を提案している。 以上の内容について、招待論文[3編]、査読付き国際誌[1編]、査読付き論文[1編]のほか、関連する学会・研究会の梗概集[3編]に採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、「1年目」に実態調査を行い、「2年目」に評価モデルを構築し、「3年目」に模擬実験を実施する3年間の研究計画を立てている。「1年目」では、防災分野における代表的な意思決定と防災デジタル技術の実態調査を開始し、一部はすでに論文化しているが、今後は「2年目」の評価モデルの詳細設計に資する要件の検討を継続する予定である。また、「2年目」の一部の研究を先行して開始することができた。特に、被害報告情報(家屋被害の時系列データ)と観測情報(250mメッシュの計測震度データ)を取り扱う評価方法について実験的アプローチを進めており、計画以上に進展している。一方で、令和6年能登半島地震(令和6年1月1日16時10分ごろ)など直近の実災害から実データを「1年目」の成果である模擬実験用データセットに取り入れるための調整や検討は新たな課題として慎重に検討している。今後の方針策定のため、必要な作業量やリソースを見積もる必要がある。研究予算の都合上、そのすべてを取り入れることが困難と言わざるをいないが、研究計画の遂行への影響を差し引いてもおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は以下の通りです。 (1)令和6年能登半島地震(令和6年1月1日16時10分ごろ)などの直近の実災害からの実データを、「1年目」の成果である模擬実験用データセットに取り込むための調整を継続する。 (2)実態調査に基づいて、模擬実験のシナリオを策定し、模擬実験用データベースを構築する。また,マルチエージェントシステムのプロトタイプにおいて、災害情報の共有過程を模擬するための機能拡張(主に時系列変化とネットワーク構造)を継続する。 (4)災害時の被害状況把握と激甚災害指定を想定し、観測情報、解析情報、SNS情報、被害報告情報を対象とした評価モデルの構築を継続する。 (5)多主体複雑系の意思決定支援を行う代理エージェント、多様なデータを取り扱う代理エージェント間の合意形成を調整する機能の組み込みを行う。
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