研究課題/領域番号 |
23K04301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鳥飼 宏之 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50431432)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 火災 / 消火 / 消火戦略 / 爆風消火 / 爆薬 / ブラスト波 / バロクリニックトルク / 拡散火炎 / 微小爆薬 |
研究開始時の研究の概要 |
爆風消火では,衝撃波と燃焼領域の干渉によって消火が達成される.ただし,この干渉の程度はブラスト波条件が同じ場合,燃焼領域の形状と,そこに突入するブラスト波の向きに依存すると考えられる.そこで本研究は,複数の噴流拡散火炎を用いて形成した燃焼領域形状を変えられる火炎群を消火対象に,どこから爆風を作用させると最大の消火効果が得られるかという爆風消火の最適爆点位置を実験的に解明する.
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研究実績の概要 |
ブラスト波(衝撃波)を用いた爆風消火は,広域都市火災や大規模森林火災に対する緊急の減災手段となりえる.この爆風消火では衝撃波が燃焼領域と干渉し,衝撃波の圧力勾配と燃焼領域の密度勾配の外積,つまり圧力勾配と密度勾配の位置関係によって生じるバロクリニック・トルクが拡散火炎に作用し消火が達成される.このことは“火災燃焼域に対して,どこに爆点を配置するか?”という消火戦略に依存して爆風の消火効果が変化することを意味する. そこで本研究は,複数の噴流拡散火炎を用いて形成した燃焼領域形状を変えられる火炎群を消火対象に,どこから爆風を作用させると最大の消火効果が得られるかという爆風消火の最適爆点位置を解明することを目的としている.そして高速度カメラと光学的な流れの可視化手法を用いて,その爆風消火過程を詳細に観察し,最適爆点位置の決定機構についても明らかにする. 本年度は,隣り合う火炎の火炎帯が干渉する程度の近い位置に配置された5本の円管バーナで形成されたメタンー空気噴流拡散火炎列に対して,爆薬として10 mgのアジ化銀ペレットを用いて消火実験を行った.このとき火炎群の中心位置と爆点との距離は常に一定としながら,爆薬の爆轟で空気中に形成されるブラスト波の火炎群に対する入射角度を実験パラメータとして変化させた.起爆には,半導体レーザを用い,その出力を光学ファイバを用いて爆薬まで導いた.実験結果としては,火炎群によって形成される密度勾配と,ブラスト波によって形成される圧力勾配とが干渉する領域が長ければ長いほど,消火確率の値が大きくなり,消火効果が大きいことが明らかとなった.加えて,高速度カメラを用いて,火炎の自発光を利用した消火過程の明瞭な撮影に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,爆点と火炎群中心距離は一定とし,火炎列の数とブラスト波の入射角度を変更して消火実験を行うことを目的としていた.そのため,5本のバーナで形成された1列の火炎群を対象に消火実験を実施した.そして,火炎の発熱量が等しくてもブラスト波の入射角度によって消火効果が異なることを明らかにした.加えて,高速度カメラを用いて,各条件における火炎群の消炎過程の明瞭な撮影に成功した.また,バーナを5列に配置して火炎群を形成するためのバーナ作製も行った.これらのことは当初の研究計画と概ね一致しており,全体的におおむね順調に進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,既に作製している5列のバーナ列によって形成される火炎群に対する,有効な消火戦略を実験的に明らかにする.また,消火過程を高速度カメラで記録し,消火戦略の優劣を決定する消火機構について明らかにする.
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